第五章 幽霊の正体

死後の世界にいる幽霊には足がないという。
まさに、
死んだ後の感覚が、足のない幽霊の欠落感に他ならない証である。
では、
幽霊には足がないと言い出したのは一体誰でしょうか。
死んだ人が後から教えてくれたのでしょうか。
それなら、
死後の世界をもっと詳しく教えてくれるはずでしょう。
エマニュエル・カントやエマニュエル・スエーデンボルグといった人たちは、あの世への旅行をしたらしく、旅行記を書いているらしいが、やはり、あの世の人たちはみんな足が無いか、一度訊いてみたいものです。
多分であり確証はありませんが、彼らの旅行記には、あの世の人たちはちゃんと足があると想像できます。
なぜなら、
彼らの旅行記は、あの世の旅行記ではなく、自己の内なる世界の旅行記であって、夢の世界と同じだと思うからです。
夢の中に登場する人物に足のない者はひとりを除いて決していません。
ただ一人だけいる。
まさに、
夢を見ている鑑賞者としての自分に他なりません。
まさに、
足のない幽霊の正体は、鑑賞者としての自分に他ならないのです。