第三十三章 現在は『今、ここ』の不在概念

過去→現在→未来と流れるいわゆる心理学的時間の矢という時間の概念は、現代科学が主張するのみならず、我々一般の人間も疑いすら持ちません。
まさに、
『今、ここ』という現在に自分は存在しているわけで、『今、ここ』にいる自分は、一瞬前、1秒前、1分前、1時間前、一日前、1週間前、1ヶ月前、一年前・・・誕生時という過ぎ去った過去から来たのであり、一瞬後、1秒後、1分後、1時間後、一日後、1週間後、1ヶ月後、一年後・・・死ぬ時という未だ来ぬ未来へ行くわけです。
まさに、
過去→現在→未来と流れるいわゆる心理学的時間の矢であるわけです。
まさに、
現在は過去から来て未来へ行く。(過去→現在→未来)
だから、
現在=「→現在→」というわけです。
だから、
現在は過去とも未来とも繋がっているというわけです。
果たしてそうなのでしょうか?
そこで、
ドイツの物理学者ハイゼンベルグの「不確定性原理」というものがあります。
専門的表現をすれば、
一つの系において、座標位置と運動量を同時に確定することはできない。
平たく言えば、
この世の中において、止まっているモノの速度を確定することはできないし、運動しているモノの位置を確定することもできない。
まさに、
よく考えなくても当たり前のことです。
つまり、
静止している世界のことは静止のことを論じるだけで、運動を論じることはできないし、
運動している世界のことは運動のことを論じるだけで、静止を論じることはできない。
そうしますと、
現在は過去とも未来とも繋がっているとは言えないことになります。
言い換えれば、
現在は過去から来て未来へ行く。(過去→現在→未来)とは言えないことになります。
なぜなら、
現在は運動状態ではなく、静止状態だからです。
言い換えれば、
現在は瞬間ではなく、一瞬だからです。
従って、
過去→現在→未来と流れる(運動する)いわゆる心理学的時間の矢など起こり得ないことがわかります。
まさに、
過去→現在→未来ではなくて過去←現在→未来だったわけです。
まさに、
瞬間という現在などなくて一瞬という『今、ここ』だったわけです。