第四十九章 複数の皇祖神

「万世一系」を誇る日本の天皇家は、今上天皇である平成天皇が第百二十五代目に当たります。
初代・神武天皇にはじまる125人の天皇の中で、「・・神天皇」と「神」がつく天皇が三人おられます。
初代・神武天皇。
十代・崇神天皇。
十五代・応神天皇。
つまり、三人の初代がいるというわけです。
中でも、十五代・応神天皇がはじめて実在した天皇ではないか。
初代・神武天皇、十代・崇神天皇は実在せず、神話(伝説)の世界の話ではないか。
そのことを裏付ける事件があります。
奈良(平城京)時代の最後の天皇(女帝)・称徳天皇と河内の僧・弓削道鏡の不倫事件であります。
弓削道鏡の虜になった称徳女帝は、次の天皇に弓削道鏡を推挙すると言い出した。
天皇家の外戚として権勢を誇る藤原一族の命を受けた和気清磨呂は、大分県にある八幡宮の本宮・宇佐八幡宮に、事の是非を伺いに行きます。
天皇家の本宮はいわずと知れた、天照大神を拝する伊勢神宮ですが、敢えて伊勢神宮に伺いを立てずに、八幡宮の本宮・宇佐八幡宮に和気清磨呂は伺いを立てたのは何故でしょうか。
八幡宮の主祭神は十五代・応神天皇です。
当時の天皇家にとって、天照大神を主祭神とする伊勢神宮より、応神天皇を主祭神とする宇佐八幡宮の方の意見を聞いたのは、応神天皇を皇祖神と認めていたからに他なりません。
更に、「・・神天皇」と「神」はつきませんが、第二十六代・継体天皇という方がおられますが、この天皇の出自がはっきりしません。
ただ、応神天皇の五代孫に当たるというだけです。
第二十五代・武烈天皇(十五代応神天皇の三代目孫)が病的な方で、お子をもうけないまま崩御されたため、越の国(現在の福井県)から迎えられたのが第二十六代・継体天皇です。
継体とは、応神天皇の系統を引き継いでいると意味でしょうか。
この間でも、系統は途切れていると考えるのが妥当でしょう。
初代・神武天皇から九代目までは「欠史九代」と言われる架空の天皇。
十代・崇神天皇も神話の世界の話が多い。
そして、十五代・応神天皇が実在するはじめての天皇。
更に、二十六代・継体天皇でも系統は途切れている。
この継体天皇の直系の孫に聖徳太子の父・用明天皇がおられるわけです。
つまり、聖徳太子は継体天皇の直系曾孫に当たる方なのです。
日本の天皇家の「万世一系」とは一体何なのでしょうか。
その鍵を握るのが聖徳太子です。