第三十四章 国際人・聖徳太子(2)

十七条憲法の最後を飾る二条は、聖徳太子が国際人であることを如実に示しています。
養蚕業を農業と同じぐらい重視していますが、シルクロード、つまり、「絹の道」と言われたほど、西洋と東洋の橋渡しをしたのが絹織物であります。
更に、合議をする習慣は共和制ローマ帝国の十八番であったわけです。
まさに、国際人・聖徳太子の面目躍如たる面がこの二条に表われています。

「十六に曰く
 民を使うに時を以ってするは、古(いにしえ)の良典なり。故に冬月、間あれば、以って民を使うべし。春より秋に至るまでは、農桑の節なり。民を使うべからず。其れ農せざれば、何をか食せむ。桑とらずば、何をか服(き)む」

(現代解釈)
「民を使うに時を以ってす」とは古の良い法則である。民を公役に使うに際しては、特に時季ということをよく考えねばならない。冬の間は、農業も暇であるから、民を賦役に使う場合は、なるべくこの間を利用して、民に迷惑をかけないようにせよ。春から秋までは、農蚕業の忙しい時である。民を使役してはならない。もし民が農耕にいそしまなかったならば、国民は何を食って生きるか。また養蚕をしなかったならば、何を着てゆけるのか。

「十七に曰く
 大事は独り断ずべからず。必ず衆と与(とも)に宜しく論ずべし。小事はこれ軽し、必ずしも衆とすべからず。ただ大事を論ずるに逮(およ)びては、若し失あらむことを疑う。故に衆と与(とも)に相弁ずるときは、辞則ち理を得む」

(現代解釈)
国家の大事は決して独断してはならぬ。必ず衆人と合議せよ。尤も些細なことは、必ずしも、いちいち衆議にかけなくともよろしい。ただ大事を論議するに当たっては、過失があってはならぬから、衆とともに十分論議を尽くせば、筋道が立つであろう。