3.“・・・させていただきます”

1923年の関東大震災から日本の都市化が進められ、1964年の東京オリンピック、1970年の大阪万博まで、東京と大阪はよきライバルとしてお互い切磋琢磨しながら発展していった。
太平洋戦争敗北後、日本は高度経済成長を遂げてきた、というのは戦後日本の輝かしい歴史の一ページと言われてきた。
“・・・させていただきます”
この奇異な表現が流布しだしたのが戦後の高度経済成長期だった、と司馬遼太郎は広言して憚らなかったが、実のところ、関東大震災後の復興事業によって、東京を中心に都市化が進んだ結果、それまでには考えられなかった人間関係の軋みが起こりはじめ、自己防衛策として誕生した表現だったのである。
そして再び、
現代日本社会に、“・・・させていただきます”という表現が広がっている。
まさに、
司馬遼太郎が言ったような高度経済成長期に誕生した言葉などではない証明を皮肉にもしたのである。
拝金主義化して、ぎすぎすした世知辛い現代日本社会だからこそ、“・・・させていただきます”という表現が広がっているのである。
まさに、
お互い疑心暗鬼の人間関係だからこそ使われる表現なのである。
因みに、
一日のテレビ番組の中で登場するタレントなどは、まさに、バカのひとつ憶えのように“・・・させていただきます”を乱発している。
更に酷いことに、
言葉のプロである司会者までが“・・・させていただきます”を乱発している。
どこかで歯車の噛みあわせが狂ってしまったらしい。