母国語のことを英語では「Mother tongue」と言う。
この言葉は聖書を語源としている。
そもそも英語の聖書は1611年にイギリス国王ジェームス一世によってラテン語から翻訳された「欽定訳聖書(King James Bible)」が本格的なもので、その後の英語という言語に大きく影響を与え、たいていの人が読んでいる聖書が、このルネッサンス期の翻訳ものだ。
それ以前の英語版の聖書として完全なものは一つも残っていないが、インドのバラモン教の教典「ヴェーダ」の英語版が13世紀に試みられていたという記録があるぐらい、英語にもインド梵語(サンスクリット語)の深い影響があった証だ。
新約聖書(使徒言行録2章1〜4)に、
「五旬祭の日が来て、一同がひとつになって集まっていると、突然、激しい風が吹いて来るような音が天から聞こえ、彼らが座っていた家中に響いた。そして、炎のような舌が分かれ分かれに現れ、ひとり一人の上にとどまった。すると、一同は聖霊に満たされ、“霊”が語らせるままに、ほかの国々の言葉で話しだした(speak in tongues)」という件がある。
イエスの弟子たちがイエスの言葉である福音(Gospel)を地の果てまで伝えようとしていたら、そこに聖霊が弟子たちの上に「炎のような舌(tongues of fire)」になって降りてくる。
弟子たちに彼らの任務を実行するよう鼓舞する上に、彼らの言語の再訓練をするためだった。
その結果、「自分の故郷の言葉で使徒たちが話をしているのを聞いた」と書かれている。(使徒言行録2章8)
以降、万能言語(言葉についての知識あるいは言語を使う能力)として“Tongue“という言葉が使われるようになった。
現在では5000種類以上あると言われている人類が使用している言語だが、本来は一つの言葉を駆使していたのである。
日本語も中国語も韓国語も、英語やドイツ語やフランス語も同じ言葉から派生したものであることを知っておくべきだ。
古代ユダヤ人(ヘブライ人)たちが言語能力に長けていた所以がここにあり、シルクロードを往来する商人(隊商)は言語能力に優れていなければならず、結果的に古代ユダヤ人(ヘブライ人)たちに独占されていたし、彼らが故郷を失った西暦69年以来、再び建国される1948年まで、世界各国に離散していても生きてゆくことが出来た最大の要素が万能言語(Tongue)にあったことを、現代人、特に、英語能力を問われている現代日本人は肝に銘じておかなければならない。