第八十四章 地獄の正体

金太も桃太も 独りで生きている

だから彼らは二十日ねずみだ

己以外のモノは すべて映像だということを知っている

だから 己の足下は 己の灯火で照らす

他者の灯火は 他者がいなくなれば それと共に消えてゆく

己と一瞬たりとも 離れない他者など どこにもいない

自灯明とは 他者は映像ということだ

ヨシ吉もシオ吉も 他者を気にしながら生きている

だから彼らはどぶねずみだ

他者の灯火を当てに生きている

独りになれば 真暗闇だ

だから 独りになることを怖れて生きる

だから 死ぬことを怖れて生きる

それが 地獄の正体だ