第三十六章 一を聞いて百を知る

金太のおつむりの良さは格別だ

一を聞いて十を知るのは 人様(ひとさま)の世間でも 砂粒程度だ

大抵の野郎(女郎)は 一尺を聞いて一寸もわからねえ

おつむりの悪い奴ほど 往生するものはない

一尺の尺庵漬けを 買いに出しても 一寸の尺庵漬けを買ってくる始末だ

それなら尺庵漬けにならねえだろう!

それなら寸庵漬けだろうが!

金太は すばやく ヘイ吉に意見を言う

師匠! それは沢庵漬けのことではねえですかい?

金太は 一を聞いて百を知る

まったく その通りでい!

金太! おめえはえれい!