第十四章 談合の花

ヨシ吉もシオ吉も どぶねずみにしては おつむりはいい

だが どぶねずみの切り札である 大胆さがカラキシない

鬼のヘイ吉が 彼らを寵愛するわけでもあり 虫酸が走るわけでもある

臆病さとおつむりの良さが合俟ると 優柔不断というどぶねずみ最大の汚辱となる

このことがカラキシわかっていないのが ヨシ吉とシオ吉だ

結果は明白だ

談合というどぶねずみの十八番(おはこ)の挙に出た

シオ吉の弟分であるカン吉が もっとも怖れていたことが現実となってきた

居ても立っても居られなくなったカン吉は 鬼のヘイ吉の屋敷に駆け込んだ

あの野郎らめ!また同じ過ちを繰り返そうってえええのかあああ!

火付け盗賊改めの長官を辞して十数年 再び鬼のヘイ吉が その兜を被る時期が到来した

カン吉は 不安と期待に胸を膨らませるのだった

そんな事情も知らず ヨシ吉とシオ吉は 心地よい談合に花を咲かせていた