第十三章 どぶとは勘違いのこと

ヨシ吉とシオ吉の鍔迫り合いの結末は明白だ

ヨシ吉もシオ吉も 所詮はどぶねずみだ

そこのところがシオ吉には わかっていない

無理もない

シオ吉は 鬼のヘイ吉というひとさま(人様)のところに身を寄せているから つい己もひとさま(人様)と勘違いをする

ヨシ吉は 端から己をどぶねずみだと自覚している

その差が どぶねずみ社会での身分の差として出ている

そこをシオ吉は認識していない

どぶねずみ社会とは 勘違いの群れだ

盗人稼業を忘れて 正業だとつい勘違いする

下端は そのことを自覚しているが 親分格はつい勘違いする

ヨシ吉は下端から奇跡に近い形で親分になった

だから自覚しているのだ

シオ吉は下端でいながら自覚していない

どくろのシオ吉といわれる所以だ