第十一章 駆け引き

ヨシ吉は 顔面蒼白な表情でやってきたシオ吉を見て ヘイ吉の陰を見た

ヨシ吉はシオ吉におそるおそる訊いてみた

ヘイ吉さまが何かあっしに用で・・・

蒼白な表情が いつもの土色に戻ったと思いきや こんどは紅潮する

ヨシ吉の取り柄だ

シオ吉の取られ柄だ

取り柄はどぶねずみの表情を紅潮させる

取られ柄はどぶねずみの表情を蒼白させる

帯に短し 襷に長し とはよく言ったものだ

へい! ヨシ吉どん! 鬼のヘイ吉さまが おまえさんに怒り心頭で その汚い面を引きずって来いと仰せで

ヨシ吉は ムカッとした

てめえの面を棚に挙げやって おれの面が汚ええだと!

だが鬼のヘイ吉さまが背後にいては そうもいかねえ!

いってえええ  あっしは何をすればいいんでえええ?

声を奮わせながら言うヨシ吉を見たシオ吉が呟いた

しめた!

波状攻撃が得意のシオ吉が 流暢にしゃべりはじめた

シオ吉の根性を知り抜いているヨシ吉は呟いた

しまった!

だが もはや 遅かった