第百四章 回想−3

ヘイ吉は ヨシ吉の計画的な親分殺しを検証しようとした

親分ねずみミノ吉の喪も明けて 跡目相続の話し合いが始まった

他の組の親分ねずみも 誰が跡目を継ぐか気になった

どぶねずみ仲間では 最大の子ねずみを抱える大一家だったからだ

このどぶねずみ一家の 一番のお務めは急ぎ働きが得意だった

どぶねずみ仲間のほとんどのお務めは 盗人稼業だ

空き巣ねらい こそ泥 引き込み強盗 そして最悪が急ぎ働きだ

盗人稼業の掟は 貧乏からは盗まず 殺さず 姦さずだが 急ぎ働きだけは別だ

相手かまわず 盗む 殺す 姦す

死んだミノ吉親分は特に姦すのが一番の楽しみだった

それが 組の子ねずみの数を増やして勢力を拡大できるからだ

跡目相続は必ずもめる

若頭のマス吉と 若頭補佐のコメ吉が 争った

マス吉は死んだミノ吉親分に目をかけられてNo2になったが 実力はコメ吉が上だった

マス吉は親分にゴマをするのがうまかった

ミノ吉親分の弱みをしり抜いてゴマを摺りまくった だからマス吉という名がついた

コメ吉は 死んだ親分とよく似て お務めのときに親分とあらそって姦しまくった

だからコメ吉という名がついた

子ねずみつくりの能力では一家随一だ

死んだ親分も コメ吉の能力を羨んだほどだが 警戒もしていた

どぶねずみ仲間では 子ねずみつくりの能力が一番重視されるからだ

跡目相続は順当な線ではNo2のマス吉だが こういった事情でもめた

最大の一家だが盗人稼業の風上にもおけぬ急ぎ働きをすることに 批判があった

マス吉もコメ吉も急ぎ働き派だ

そこで他の親分が相談して あの調達係りの子ねずみヨシ吉に白羽の矢をたてた

巷の噂では 一家のお務めが余りにもひどいとヨシ吉は嘆いていたらしい

だから 今回のミノ吉親分の死もヨシ吉の仕業ではないかと疑われていた

ヨシ吉はその名の通り 道理の通らないことが大嫌いだ

その侠客魂を 他の親分連中は買っていた

そして マス吉 コメ吉を 出し抜いて ヨシ吉が跡目を相続した

さあ このままでは収まらないのは マス吉とコメ吉だ

だが 日頃から マスとコメにうつつを抜かす彼らは所詮 日々努力するヨシ吉

の敵ではない

ヨシ吉はまた 罠を仕掛けた

まんまと はまるマス吉とコメ吉は所詮脳味噌が腐っている

そして ついに ヨシ吉が 二代目を継いだ

さあ これからが ヨシ吉の本領発揮だ

検証するヘイ吉は 唖然とした

ヨシ吉の野郎! ただではすまさねえええ!