第百三章 回想−2

ヘイ吉は ヨシ吉がまんまと盗人一味の親分になった経緯(いきさつ)を想い出した

どぶねずみの親分の葬式が盛大に行われた

あっちこっちの親分衆のみならず子ねずみ連も参列した

ある組の子ねずみが 例の調達係りの子ねずみヨシ吉に尋ねた

なんで お前さんの親分さんみたいな 立派なお方が死になすったのかね

ヨシ吉は 涙を流し こう答えた

日頃から 甘いことばや 食べものには気をつけろと

それで 前の家の猫が飼い主の人間からもらった特別の食い物を親分に奏上した

自分は てっきり 親分から試食しろとビクビクしてたら 親分がパクッと食いついた

ある組の子ねずみが 頭をかしげて また尋ねた

どうして 親分さんは パクつきなすったのかね

ヨシ吉は 涙をあふれさし 答えた

自分がビクビクしているので かわいそうに思って 親分自ら試食なすったので

ある組の子ねずみが感心しながら また尋ねた

ところで 親分は最後の遺言をなすったので

はい おめえは偉い と遺言を残されやした

ある組の子ねずみが またまた感心して こう言った

そりゃ ていした親分さんで うちの親分にも話さなきゃ

そこで ヨシ吉が あわてて 言った

そりゃ お前さん そんなこと言ったら いくつ命があっても 足りませんぜ

ヘイ吉は 怒り心頭になった

あの野郎 端からわかってやがったんだ!