第百章 桃太の了見

ヘイ吉どん!

おめえさん! 頭に乗っているんではねえですかい?

おめえさんは 所詮 人様(ひとさま)でがす

ねずみの気持ちなど わかりっこありゃしません

ましてや どぶねずみの気持ちなど わかりっこない

あっしは 今でこそ 二十日ねずみに戻りやしたが 以前は どぶねずみ以下でやした

どぶねずみ以下の世間を 味わえば どぶねずみの良さが しみじみ わかりやす

人様(ひとさま)の世間には 上がないから 下の気持ちが わかりゃせんでがす

一度 下の世間で 泥水でも 飲みなせえええ!

ヘイ吉は 豆鉄砲を食らった鳩のような目をして 黙っていた