(その二十五)

西洋世界の歴史の中で、中世という時代に誕生したアラブ世界を、近代世界に引き摺り込んだのがアラビアのロレンスを英雄とする大英帝国である。
古代にはアラブ世界などなく、ローマ帝国の一部に過ぎなかった。
現在アラビア半島にあるサウジアラビアを筆頭にクエート、バハレーン、カタール、UAE、オマーン、イエーメンという国々も、シリアやヨルダンやレバノンといった国も古代ではローマ帝国の一部に過ぎなかった。
唯一、イエルサレムのあるイスラエル(当時ではユダ国)だけが、ローマ帝国の一部ではなく、今で云う植民地であり、そこに住んでいるのがユダヤ人でありイスラエル人であり、元々はヘブライ人であった。
ヘブライ人と同じ祖先を持つアラブ人。
ノアの長子セムの血を引くヘブライ人とアラブ人。
イスラエル・パレスチナ紛争がいつの間にかイスラエルとアラブの紛争という骨肉の争いになった。
パレスチナ人の祖先は古代フェニキア人の一つであるペリシテ人という地中海を荒らす海賊であり、ヘブライ人が住む地を荒らしていた。
今から3700年前の話だから、イスラエル・パレスチナ紛争は第二次世界大戦終結直後の1948年に誕生した国家イスラエルが原因で起こったというような単純な問題ではなく、実に根の深い物語なのだ。
西暦395年。
栄光の古代ローマ帝国が崩壊し、東西ローマ帝国に分裂した。
西ローマ帝国は古代ローマ帝国と同じようにローマを首都にしたが、東ローマ帝国はトルコのコンスタンチノープルを首都にした。
結果、
ローマを首都とする西ローマ帝国は100年も持たず西暦476年にゲルマン民族によって滅ぼされたのに対し、コンスタンチノープルを首都とする東ローマ帝国は西暦1453年にオスマン・トルコに滅ぼされるまで1000年以上続き、以降、アラブ世界は同じイスラム教徒であるオスマン・トルコ帝国に支配されるが、20世紀のはじめに、大英帝国が派遣してきたアラビアのロレンスによって解放されることになる。
ところが、天の配剤は平等である。
劣悪な環境の中で侵略され続けてきたアラブ人に天の恵みが天からではなく地下から湧いてきたのである。
石油という天の恵みが地下から湧いてきたのである。
1万2000年という文明社会の歴史では、過酷な砂漠の地でしかなかったアラビア半島だが、氷河期以前には、鬱蒼とした森林地帯であったことの証明が大規模な油田の発見であった。
アラビア半島で大油田が発見されたのは、世界ではじめてフィラデルフィアで油田が発見されてから100年後のことだ。
この100年の時差が、キリスト教世界とイスラム教世界の間に大きなギャップを生んだ。
11世紀に十字軍の遠征を開始した時、イスラム教世界との戦いを「聖戦」とする言葉がはじめてキリスト教世界で誕生した。
今では、イスラム教世界がキリスト教世界と戦うことを「聖戦(ジハード」と呼ぶようになったのは、まさに、このギャップの所為だ。
そして、2001年9月11日にアメリカ本土がはじめて戦場と化する事件が起きた。
まさに、イスラム教世界からキリスト教世界への十字軍遠征のはじまりだった。
11世紀にはじまったキリスト教世界からイスラム教世界への十字軍遠征の逆さま現象が1000年の時を隔てて起こったのである。
まさに、ユーラシア大陸にとって新世界だったアメリカ大陸が旧世界に成り下がる瞬間(とき)だった。
アメリカという国が実質上破滅した瞬間(とき)だった。
そして、2012年10月から11月にかけて表面的にもアメリカという国が破滅するのだ。
人間だけにある支配・被支配二層構造の差別社会は、しょせん、1万2000年の歴史だが、人類生みの親である地球は46億年の歴史を持ち、有機生命体でも8億年の歴史を有し、動物としての歴史でも3億年を有し、人類の生みの親である霊長類でも1000万年の歴史を持つのに、人間が構築した配・被支配二層構造の差別社会はたった1万2000年の歴史しかない。
地球では一氷河期から次の氷河期のスパンが1万2000年であったという事実がある。
太陽系がフォトンベルトに突入する周期が1万2000年であるとする根拠の裏づけになっている所以だ。
いよいよ文明社会の崩壊時期が迫ってきたようだ。
貨幣制度の崩壊は文明社会の崩壊を意味している。
文明=お金というわけだ。
文明社会の元祖とは我等なり、と放言する西洋社会から崩壊がはじまることは言うまでもないだろう。
その中でも、パクス・ブリタニカとして十九世紀世界をリードしてきたイギリスと、パクス・アメリカーナとして二十世紀世界をリードしてきたアメリカから崩壊がはじまるだろう。
歴史の順序からすれば、先ず、イギリスから崩壊しなければならないはずで、イギリスが崩壊する予兆はビクトリア王朝が消滅することがきっかけになるだろう。
そして、ビクトリア王朝が崩壊する予兆は、他のヨーロッパ諸国の立憲君主国家が消滅することがきっかけになるだろう。
更に、ヨーロッパのすべての立憲君主国家が崩壊する予兆は、中東にある立憲君主国家が消滅することがきっかけになるだろう。
そして最後に残りのすべての立憲君主国家が崩壊する予兆は、日本の天皇家が消滅することがきっかけになるだろう。
そして、新しい歴史観では、先ず、日本の天皇家から崩壊しなければならないはずで、日本の天皇家が崩壊する予兆は残りのすべての立憲君主国家が消滅することがきっかけになるだろう。
そして、残りのすべての立憲君主国家が崩壊する予兆は、他のヨーロッパ諸国の立憲君主国家が消滅することがきっかけになるだろう。
更に、ヨーロッパのすべての立憲君主国家が崩壊する予兆は、イギリスが消滅することがきっかけになるだろう。
そして最後にイギリスが崩壊する予兆は、ビクトリア王朝が消滅することがきっかけになるだろう。
いずれにせよ、ビクトリア王朝と日本の天皇家は表裏一体の関係にある。
エリザベスと一哉の関係がビクトリア王朝と日本の天皇家が表裏一体の関係にあることを如実に表わしていた。