(その十九)

1978年1月、パーレビ国王によって国外追放を受けたのちフランス・パリに亡命していた反体制派の指導者、十二イマーム派の有力な法学者の一人であったルーホッラー・ホメイニを中傷する記事を巡り、イラン国内の十二イマーム派の聖地コムで暴動が発生した。
暴動の犠牲者を弔う集会が、死者を40日ごとに弔うイスラム教の習慣と相俟って雪だるま式に拡大し、国内各地で反政府デモと暴動が多発する事態となった。
パーレビとホメイニの間には長い因縁の対決が水面下に潜んでいた。
まさに、個人的な因縁の対決だったのである。
パーレビ王朝を築いたのは、彼の父親のレザー ・パーレビだが彼は軍人で、リビア革命を起こしたカダフィーが国家元首になっても大佐の称号に拘ったように、軍人としての立場を貫こうとしたが彼の前に立ちはだかるハイエナ連中がいた。
アメリカの石油メジャーだ。
特に、アメリカ随一のロックフェラー財閥系のスタンダード・オイル社はハイエナのボス的存在だった。
スタンダード・オイル社の密命を受けた日本最大の総合商社である三井物産は、イランの港湾都市であるバンダール・ブシェ‐ルに石油コンビナートを建築することをパーレビ国王に提案した。
予てから、大手総合商社安宅産業がカナダに石油コンビナートを建築するプロジェクトで詐欺に遭い、倒産の憂目にあった中での話だっただけに、三井物産は慎重の上にも慎重を期した。
同じ頃、三井物産に先を超されたと焦る三菱商事は、三菱財閥の誇りにかけても三井物産の後塵を拝することはできず、ペルシャ湾を挟んだアラビア半島の盟主であるサウジアラビアのサウド王家と東海岸にある都市ダンマンに石油コンビナートを建造する計画を進めていたが、背景にはやはりロックフェラー財閥系のスタンダード・オイル社が潜んでいた。
1911年。
アメリカで独占禁止法がはじめて実施され、スタンダード・オイル社は34の会社に分割された。
本家のスタンダード・オイル・オハイオ(ソハイオ)を筆頭に、スタンダード・オイル・インディアナ(スタノリンド、後にアモコに改名後、現在のBP(ブリティシュ・ペトロリアム))、スタンダード・オイル・ニューヨーク(ソコニー、その後ヴァキュームと合併してモービルに改名後、現在のエクソン)、スタンダード・オイル・ニュージャージー(エッソから エクソンに改名後、現在エクソンモービル)、スタンダード・オイル・カリフォルニア(ソーカル)はシェブロンに改名)、その他、 アトランティックとリッチフィールドが合併しアトランティック・リッチフィールド(アーコ)を形成、現在はBPの一部になり、スタンダード・オイル・ケンタッキー(ケイソ)はソーカルによって買収され、現在シェブロンの一部になり・・・・・・スタンダード・オイル・コロラドといったスタンダード・オイルの商標を用いた詐欺で使用された実態のない会社や、スタンダード・オイル・コネチカットのような ロックフェラーの会社とは関係の無い燃料油販売業者まで枚挙に暇がないほど、スタンダード・オイルという商標(tm=trade mark)は、日本の三井、三菱、住友並み若しくはそれ以上のブランドなのである。
新生国アメリカにも特権階級が存在し、彼らのことをエスタブリッシュメント(厳密には東部エスタブリッシュメント)と呼ぶ。
ニューヨークの北にあるマサチューセッツ州の州都ボストンを以って東部と言い、まさに、ボストンを中心にアメリカの支配者階級であるエスタブリッシュメントが存在し、その中心にいるのがロックフェラー財閥だ。
エスタブリッシュメントの三種の神器は“WASP”だ。
白人(White)の”W”であり、アングロサクソンの“AS”であり、プロテスタントの“P”である。
ロックフェラー家は自称“WASP”であり、エスタブリッシュメントの頂点に立っていると詐称しているし、ロックフェラー家の下僕であった第32代アメリカ大統領にして、歴代アメリカ大統領で唯一人四選された(通常は二選8年までとアメリカ憲法で定められている)フランクリン・ルーズベルトも自称“WASP”と詐称している偶然性は一体何なのだろうか?
フランクリン・ルーズベルトの祖先はオランダのユダヤ系であるにも拘わらず、やはり“WASP”と称している。
世界の人口の半数を占めているのは、聖書をバイブルとするキリスト教徒とイスラム教徒であり、その根底にはユダヤ教が潜んでいる。
畢竟、キリスト教徒もイスラム教徒もすべてユダヤ教で括られているのだ。
やれキリスト教徒だ、やれイスラム教徒だと騒ぎたて、殺し合いをしているのは、キリスト教圏国の被支配者、すなわち、国民と、イスラム教圏国の被支配者、すなわち、国民だけで、キリスト教圏国の支配者、すなわち、政府と、イスラム教圏国の支配者、すなわち、政府はお互い利益を貪っているのだ。
十字軍の派遣がはじまったのが11世紀末からで、ローマ教皇によるイスラム教徒を殲滅する目的だったが、彼らの標的はカスピ海沿岸で暮らすイスラム教徒のカザール人の改宗にあった。
そういう意味では500年に亘る「十字軍遠征」は奏功したと言えるだろう。
なぜなら、ユダヤ教に改宗したカザール人がその後の世界を支配するアシュケナジーユダヤと変貌していき、やがて、ゲルマン人が住むドイツ東部で落ち着き、ドイツ語とヘブライ語をミックスしたイディッシュ語を使いはじめたため、イディッシュ語を駆使するユダヤ人、すなわち、イディッシュ・ユダヤが訛ってアシュケナジーユダヤとなってゆくのである。
キリスト教の本山ローマバチカンは彼らに実質牛耳られている。
まさに、宗教戦争は支配者同士の鬩ぎ合いが背景にあったことを理解できれば、宗教とは人間の精神の浄化のために生まれたのではなく、支配者の思惑の結果として生まれたものであることが解ってくる。
人間社会だけに差別・不条理・戦争が横行する原因はここにある。
人間だけが悩んだり四苦八苦したり、挙句の果てに、死を怖れる原因はここにある。
人間社会だけに宗教や科学がある所以だ。
まさに、人間社会だけが支配・被支配二層構造になっている原因がここにある。
畢竟、国同士の相克でも、社会同士の相克でも、家族同士の相克でもなく、支配者側と被支配者側の相克でしかなかった。
宇宙はすべて二元論世界観で投影されていると言ってもいいだろう。
まさに、我々の宇宙は映像宇宙である所以だ。
だから、実在宇宙が何処かにあるはずだ。
実在宇宙を人類が見つけることができたら、映像宇宙は消滅するだろう。
見つけるだけでいいのだ。
映像というものは自覚するだけで消滅する。
自我(エゴ)というものは自覚するだけで消滅するのと同じメカニズムだ。
そして、
人間社会だけに、差別・不条理・戦争が横行する原因はすべて自我(エゴ)の所為である。
人間社会だけが、支配・被支配二層構造の世襲・相続の差別制度が蔓延する原因はすべて自我(エゴ)の所為である。
人間社会だけに、宗教や科学が横行する原因はすべて自我(エゴ)の所為である。
人間社会だけが、悩みや四苦八苦、挙句の果ての、死の恐怖に苛まれる原因はすべて自我(エゴ)の所為である。
人類に歴史はなかった。
歴史が誕生したのは、人類が人間にした時からだ。
まさに、
文明社会以来の歴史であり、文明社会以前の歴史などないのは当たり前だ。
アトランティス文明やら、ムー文明など幻想に過ぎず、歴史として残っている現代文明社会しかなかったのであり、それ以前は支配者たちの森などないただの人類だった。