第九十七話 暗中模索のふたり

雄仁に大きな異変が起きた。
異変とは主観と客観でまるで正反対に見える。
主観の世界では変身であり、客観の世界では異変だ。
だから雄仁自身には、まったく他覚症状はなく、自覚症状だけである。
他覚症状のない自覚症状ならば、それは悦ぶべき変身である。
他覚症状もなければ自覚症状もなければ、それこそ異変という病気である。
一般に使用されている、自覚症状の無い状態とは、他覚症状もない状態である。
馬鹿もん!
それなら他覚症状など関係ないではないか!
おっとどっこい、そうは行きまへん!
E=mC²と 1/ E=1/ mC²とが同じであって、同じでない理論と同じなのだ。
正常な状態では、同じでなくても、異変の状態では同じであることが、世の中では日常茶飯事である。
極端に走れば、E=mC²はLimit(E)E→∞=∞になるが、1/ E=1/ mC²はLimit(1/E)E→∞=0になるのである。
この理屈がわからない者には、真理を理解することは到底無理であろう。
この世とあの世は、Eと1/Eの関係である。
過去・未来という実時間と、高い・低いという虚時間も、Eと1/Eの関係である。
実時間と虚時間が交差する処が、実時間では現在であり、虚時間では、『今、ここ』であるのだ。
それを近づけるのが、極端に走るというLimitの概念である。
この理屈がわからない者には、真理を理解することは到底無理であろう。
雄仁はEの世界にいる。
たけしは1/ Eの世界にいる。
ふたりが手を取り合って結べば、絶対の世界に入れる。
ふたりが反目し合って跳ね合えば、対消滅してふたり共に消滅して、光だけが残る。
5月5日の「The Day」に向かってふたりは暗中模索する。