(その二十二) 二進も三進も逝かない人生

「気前よくなれ!粋な老人」は四年前に書いた作品なのですが、つい最近書き終えた「夢の中の眠り」に優るとも劣らないほど、なかなかいいことを書いています。
人間の「我」というものは人生の垢のようなもので、長く生きれば生きるほど、ベタッとくっついています。
「我」のことを自我意識とも言い、エゴイズムとも言います。
おろかな(頑迷な)老人こそ、ベタッとくっついた垢で二進も三進も逝かなくなって、立ち往生しているのです。
極楽往生するお年寄りは、この世に残るものなど早々と整理して、あの世への二進も三進も逝けるようにして落ち着き払っています。
老人になると子供に戻ると言われている。
人間の子供は立つようになれるまでに一年掛かります。
それだけに「我」の垢が大きくへばりついているのです。
他の生き物は生まれて数時間で立つことができるから、「我」が殆ど無いのです。
子供の頃にへばりついた「我」の垢を剥がさなければ、極楽往生できないのです。
年老いた人間が四苦八苦している原因がここにあります。
自我意識(エゴイズム)についてもっと理解を深めることが肝要です。
「我」の垢がべったりとくっついた、おろかな(頑迷な)老人は、いい加減に・・・してもらいたいものです。

「気前よくなれ!粋な老人」の(その二十二)を以下紹介しておきます。

(その二十二) エゴイズムの原点

エゴイズムのことを日本語では自我意識と訳しています。
一般の方々は、「身勝手さ」といったイメージで捉えられていると思いますが、実は、自分がこの世に独りでいる存在すると思う、若しくは感じる「想い」と言っていいでしょう。
森羅万象すべて(同じ意味を繰り返してエエかっこしているだけで、すべてと理解してくれて結構です)お互い支えあって存在しているのが実在すべて(これもエエかっこうしているだけで、すべてと理解してくれて結構です)であります。こういうのをInterdependent と英語で言います。
わたしは、別に英語の知識をひけらかしている訳ではありませんから、誤解しないでください。(あとでわかります)
それに対して、この広い世の中で自分独りで生きているのだと思っているのが、エゴイズム(自我意識)なのです。こういうのをIndependentと英語で言います。
Independentは結構ポピュラーな言葉ですから、みなさんご存知だと思います。
ええ!知らない?だから世界どこの国に行っても、買い物する時、現地の店員の方を掴まえて、「これ、なんぼ?何で、言ってることわかれへんの?」と不興を買う日本人が多いのです。
海外の国に行くなら、せめてその国の文化やちょっとした言葉を頭に入れて、行くのがエチケットであると思います。
その点では、特に自国の言葉を誇りに思っているフランスなどに行って、「この国は英語も喋れない、遅れた国だ」と文句たらたらの大いなる田舎っぺ、アメリカ人もエチケットを知らない国民であります。どこに行っても自分の国の言葉で通じるものだと思っている傲慢さも辟易とします。
また話しが脱線してしまいました。
エゴイズムのことを話していました。
Independentは独立するといった意味です。
独立記念日などはIndependence Day と言います。
一方、Dependent という言葉があります。
頼るといった意味ですが、ここが、日本語が不親切といいますか、真意をぼやかしている言語だと常々思う所以であります。
Dependentも依存するといった意味にも取られがちで、これは大きな間違いを誘導する危険を孕んでいるのです。
Dependent(頼る)というのは、産まれたての赤ん坊や子供が、一人で生きていけないで親に依存している状態を意味しています。
戦後の日本は、まさにアメリカにDependentな国だったのです。
そこから、自立心が生まれると、逆説的に言いますと、自由を欲するようになると、Independentになりたいと思うのです。
エゴイズムの原点はここにあることを理解してください。
しかし、この状態は通過点であって、最終ゴールではないのです。
つまり、このような状態を続けることは不可能なことなのです。
別の言い方をすれば、概念だけであって、実在するものではないのです。
ちょっと難しいでしょうね。でもわたしの頭がおかしくなるので、そのまま進みます。
実在するのはInterdependent(相互依存)のみで、それを知るに至る過程で、しばらくはDependentの期間がある。
人間の場合が一番その期間が長くて十年から、今では二十年、いやひょっとしたら、ずっとかも知れない。
他の動物は生まれて数時間で立ち上がります。あの時点でかなりDependentからIndependentを通過してInterdependentになっているのです。
このDependentの期間が長ければ長い程、Independentに停滞する期間も長くなる。そこにエゴイズム(自我意識)が生じるのです。
他の動物にもエゴイズムは、少しはありますが、人間のようにエゴイズムの塊ではありません。
ほとんどの人間がDependentとIndependentで一生を終わるからエゴイズムの塊になってしまって、死と直面した時に、Interdependentの状態になっていないと死ぬ、すなわち土(地球)に戻ることが出来ないから、オロオロして慌てるのです。
エゴイズムというものは、知って、理解して、経験しなければなりませんが、すぐに捨てなければなりません。
ところが、捨てることが出来ずに後生大事に持ち続けているのが、哀れな人間であります。