第一章 強い人間原理

はじめに人間ありき、然るに、宇宙ありきとする「強い人間原理」では、人間そのものの在り方を検証してみる必要がある。
宇宙の年齢と光が陽子の半径を進む時間の比、
宇宙に存在する陽子と中性子の数、
陽子と電子の間の電磁気力と重力の強さの比、
これらは偶然成り立っているのではなく、常に成り立っているとする大数仮説が成立する時に人間が存在している不思議さを、人間の存在による必然と考えた。
言い換えれば、
宇宙の年齢が偶然ではなく、人間の存在によって縛られていることを示した。
そうすると、
宇宙の年齢は現在のようなある範囲になければならない。
なぜなら、
宇宙が若すぎれば、恒星内での核融合によって生成される炭素などの重元素は星間に十分な量存在することができないし、逆に年をとりすぎていれば、主系列星による安定した惑星系はなくなってしまっているからである。
このように宇宙の構造を考える時、人間の存在という偏った条件を考慮しなければならないという考え方を弱い人間原理と呼ぶ。
この「弱い人間原理」をさらに進めて、知的生命体が存在し得ないような宇宙は観測され得ない、よって、宇宙は知的生命体が存在するような構造をしていなければならない、というのが、「強い人間原理」である。