第十章 世襲・相続のない社会

東西冷戦とは、平等共産主義の東側陣営と自由資本主義の西側陣営とのイデオロギー(思想)戦争であり、アメリカを西側陣営の盟主とする自由資本主義陣営が、ソ連を東側陣営の盟主とする平等共産主義に勝利して現在に至っている。
では、
自由資本主義が平等共産主義に勝利した理由は一体何か?
まさに、
その理由は、自由資本主義が平等共産主義に勝利したのではなく、平等共産主義が自滅しただけのことである。
従って、
自由資本主義も遅かれ早かれ自滅する運命にあることは自明の理である。
では、
なぜ平等共産主義が自滅したのか?
その答えは、平等の意味を履き違えてしまったからである。
言い換えれば、
自由(自由競争)の反対概念としての平等と捉えたからである。
その結果、
平等を徹底するために私有財産を禁止した。
だがその反面、
世襲制度に対しては禁止しなかった。
その結果、
一党独裁のソ連共産党の幹部職やエリート官僚である「ノーメンクラツーラ」が実質世襲制度を容認し、派閥や縁故主義の温床となって、その総数は1970年代には75万人、家族を加えれば300万人となり、人口の1.2%を占めた。
まさに、
平等どころか差別がさらに徹底されたのである。
では、
自由と平等の真の関係はどうなのか?
まさに、
自由=平等の正しい二元論にある。
逆に、
自由資本主義が標榜した自由競争の自由とは差別以外の何者でもなかったのである。
この点を平等共産主義がしっかりと訴えていれば、自滅などせずにすんだであろうし、却って、自由資本主義の方が自滅したであろう。
まさに、
自由資本主義も遅かれ早かれ自滅する運命にあることは自明の理であると述べた所以がここにある。
まさに、
人間社会の最大の元凶は世襲・相続の慣習にあった。
そして、
世襲・相続の徹底禁止をする社会こそが、正しい共同体社会の核に他ならない。
そして、
世襲・相続の徹底禁止をする社会の経済こそが、世を啓き(未来の世をひらき)、民を財す(うるおす)「啓世財民」の「啓財(けいざい)」になるだろう。

「経世済民学(経済学)」‐完‐