第四章 四苦八苦の誕生

天下をはじめて統一したのが、文字通り、秦の始皇帝だ。
紀元前221年の出来事である。
秦(しん)は中国語では(Qin)と読まれる。
話は本題から些か外れるが、秦=Qinがインドに伝わって(Cina)になり、ローマ帝国の時代のイタリアに伝わり(Ciena)になり、ラテン語から英語に伝わって(China)になったから、中国から(China)になったのではなく、秦から(China)になったことを忘れてはならない。
(China)が中国という国になったのは、毛沢東の共産革命が成立した1949年からである。
始皇帝が天下を握っていたのはわずか15年間(紀元前206年滅亡)のことで、老いてゆく自分の姿を見た始皇帝は、我がものにした天下を未来永劫手中に収める方法はないものかと考えるようになった。
この世で得たものはすべてこの世だけのものである真理は天下人にも等しく迫る。
遂に始皇帝は不老不死の薬を本気になって探しはじめたが、しょせん、不可能な話だ。
この時から、始皇帝の中に四苦八苦の観念が擡げはじめたのである。
まさに、
持つ者=豊かな者ゆえ四苦八苦がつきまとうのである。
自然社会では蓄積のない=貧しさが常識ゆえ四苦八苦に無縁なのである。
まさに、
自然社会と逆さま社会の人間社会ゆえ四苦八苦がつきまとうのである。
そして、
自然社会と逆さまの社会こそが、
(1)支配・被支配二層構造社会
(2)世襲・相続の差別慣習の社会
に他ならないのである。