第三章 世襲・相続の差別社会

農耕型社会の最大の特徴は、
備蓄が可能な穀類の採集によって、蓄積する者と、蓄積しない者、つまり、豊かな者と貧しい者の区分け意識が発生した点にある。
この特徴は人類に二つの革命的変化を齎したのである。
一つは、
経済の概念が誕生したことである。
一つは、
支配する者(蓄積する者=豊かな者)と支配される者(蓄積しない者=貧しい者)の二層社会が誕生したことである。
まさに、
12000年前に起こった文明社会と共に誕生した経済の発生原因からして、
「経済」の語源である「経世済民」の本義とは世を治め、民を救済することであるはずなのに、世を乱し、民を苦しめる「乱世苦民」の「乱苦」になっていた。
まさに、
支配する者(支配者)=蓄積する者=豊かな者
支配される者(被支配者)=蓄積しない者=貧しい者
この支配・被支配二層構造社会は、貧富二元論発生の原点であり、生死二元論発生の原点でもあった。
豊か=生きることであり、貧しい=死ぬことであった。
ところが、
豊かさは死によって奪われるのも真理であった。
貧しさも死によって解放されるのも真理であった。
まさに、
自然社会では、蓄積をしない、すなわち、貧しさが本来性であったのに、文明社会を構築した人間社会では逆転してしまった。
まさに、
人間社会が逆さま社会である証明がこの点にある。
その結果、
死んでも奪われない豊かさを実現させるために考え出したのが、世襲・相続の慣習に他ならない。