第十一章 形のあるお金→形のないお金

I.有限マネー & 無限マネー
世界の基軸通貨であるドルが消えてしまった後の世界は一体どうなるでしょうか?
言うまでもなく、
土台(基軸通貨であるドル)が消えてなくなったら、その上に立っているその他の通貨も総崩れになります。
ところが、
欧州連合を結成して新しい世界秩序の中心(パクス)を狙ったEUの通貨であるユーロや、経済成長著しい中国の元が次の基軸通貨の地位を狙っている。
では、
ユーロや元がドルの次の基軸通貨になり得るでしょうか?
残念ながら、
それは不可能です。
なぜなら、
ユーロや元もドルと同じように印刷しまくっているからです。
言うまでもなく、
円も印刷しまくっている。
従って、
貨幣制度は完全に崩壊するでしょう。
つまり、
ドルのみならず、すべての紙幣が世界から消えてしまうでしょう。
そして、
仮想マネー(電子マネー)が世界の唯一の通貨として君臨することになるでしょう。
まさに、
文字通りの仮想マネーですから、形はありません。
従って、
形のないものを印刷することはできません。
逆に言えば、
形のないマネーだけに、無限マネーになります。
実体貨幣である本位貨幣であれ、似非実体貨幣である虚構貨幣であれ、形のあるものだけに有限マネーである。
一方、
幻想マネー(電子マネー)は形のないものだけに無限マネーです。
まさに、
有限マネーと無限マネーの違いこそ決定的違いなのです。
そして、
有限マネーだからこそ、金(ゴールド)を代表とするモノの量以上の印刷ができないものを本位貨幣というわけです。
更に、
有限マネーだからこそ、金(ゴールド)を代表とするモノの量以上の印刷をしたら似非本位貨幣というわけです。
いずれにしても、
3、500兆円の世界の総GDPの1/7のおよそ500兆円程度の本位貨幣でも、
現在の世界の貨幣(お金)発行量である10、000兆円(正常の20倍)の似非本位貨幣でも、
有限マネーには変わりない。
従って、
実体経済上では必ず働く「流動性の停止」が、世界経済を破壊するでしょう。
ところが、
無限マネーの仮想マネー(電子マネー)では、発行量がいくら
増えても「流動性の停止」は永遠に働かないでしょう。
平たく日本流に言えば、
自転車操業でも、永遠に自転車が働けば自転車は決して止まらず、倒れることはないはずです。
従って、
モノの代表である金(ゴールド)に裏づけされた本位貨幣でも、
モノの代表である金(ゴールド)に裏づけされない似非本位貨幣でも、
詰まる処、
形のある有限マネーだから、「流動性の停止」は必ず働くことになるでしょう。
一方、
形のない無限マネーである仮想マネー(電子マネー)であれば、「流動性」は永遠に続く可能性があります。
ただし、
重要な条件が一つあります。
それは、
金(ゴールド)で代表されるモノが無限であるという条件です。
ところが、
金(ゴールド)で代表されるモノは有限です。
なぜなら、
金(ゴールド)で代表されるモノは地球という有限の星が前提で成り立っているからです。
そうしますと、
形のない無限マネーであっても、有限であるモノと連動している限り、やはり、「流動性の停止」は必ず働くことになります。
ところが、
人間のお金(マネー)に対する欲望には際限がありません。
言い換えれば、
人間のお金(マネー)に対する欲望は無限です。
ここが鍵です。
逆説的に言えば、
人間のお金(マネー)に対する無限の欲望が、無限マネーを生み出したとも言えます。
従って、
有限マネーである金硬貨や紙幣に基づく本位貨幣が遅かれ早かれ、人間のお金(マネー)に対する無限の欲望によって消え去る運命にあったわけです。
更には、
有限マネーである印刷し過ぎた似非本位貨幣も遅かれ早かれ、人間のお金(マネー)に対する無限の欲望によって消え去る運命にあったわけです。
そして、
無限マネーである仮想マネー(電子マネー)が、遅かれ早かれ、人間のお金(マネー)に対する無限の欲望によって生み出される運命にあったわけです。
まさに、
有限のモノ同士の交換手段として生み出された貨幣(マネー)であったはずなのに、モノとモノを欲する人間との間に立ったお金(マネー)が、無限の欲望を持つ人間側についてしまった。
そして、
有限マネーから無限マネーに変身してしまった。
その結果、
モノを無視して、無限の欲望を持つ人間と無限マネーが結託してしまった。
まさに、
1980年代に入って高速度コンピュータが開発され、マネー資本主義(金融賭博)社会が誕生した瞬間だった。
そして、
マネー資本主義(金融賭博)社会が誕生する予兆は1970年代初頭に既にあったのです。
つまり、
1971年の当時のニクソン・アメリカ大統領による金本位制の廃止宣言です。
この事件によって、その後の世界はマネー資本主義(金融賭博)社会になることを決定づけられたと言っても過言ではない。
ところが、
マネー資本主義(金融賭博)社会を現実化するには条件が要った。
すなわち、
計算速度の速いコンピュータの登場が民間に普及するのが条件だった。
国家レベル、特に軍事目的で誕生したのがコンピュータだった所為で、コスト・パーフォーマンス(原価意識)無視で開発されていた。
その結果、
コストが高過ぎる高速度コンピュータが民間に普及するのが困難な時代が1970年代だった。
ところが、
1980年代に入って、高速度コンピュータ市場を独占していたアメリカのクレイ社に日本のコンピュータメーカー(NEC、富士通、日立・・・)が殴り込みを掛けた。
その結果、
高速度コンピュータの価格が飛躍的に下がり、民間企業が手を出せる環境が整い、先ず、銀行(金融機関)が採用した。
まさに、
満を持してのマネー資本主義(金融賭博)社会の登場でした。
そして、
1982年に先ずメキシコではじめてのバブル経済が発生、破裂した。
アメリカが経済的原爆を先ずメキシコに投下したのです。
そして、
1985年9月22日のプラザ合意。
まさに、
その日から日本の不動産バブル経済が発生したのです。
まさに、
マネー資本主義(金融賭博)社会のいよいよ開始だったのです。
そして、
その後のアメリカでの住宅バブルが本番だったのです。
この事実は一体何を示唆しているのでしょうか?
まさに、
原爆開発(ニューメキシコで原爆実験)→原爆投下(広島・長崎原爆実地試験)→冷戦開始(アメリカ対ソ連核戦争)という新しい戦争形態の中での原爆の位置づけが確定された。
同じように、
まさに、
マネー資本主義(金融賭博)開発(メキシコでのバブル経済実験)→マネー資本主義(金融賭博)投下(日本でのバブル経済実地試験)→マネー資本主義(金融賭博)社会の実現(アメリカでのバブル経済開始)という新しい経済戦争形態の中でのマネー資本主義(金融賭博)の位置づけが確定された。
そして、
世界の基軸通貨であるドルは1928年以来続けてきた旧ドル紙幣を満を持して2000年初頭から新ドル紙幣に切り替えたのです。
まさに、
マネー資本主義(金融賭博)社会の実現のために、形のあるお金→形のないお金への切り替えを戦略的に行ってきたのです。
では、
アメリカという国が遠大な戦略を実行してきたのでしょうか?
まさに、
アメリカが最大の悲劇の国であることが、上記問いかけに対する回答の証です。
どうやら、
国家を超えたパワーが働いてきたのが真の歴史のようです。