Chapter 86 エデンの東にあるノドという町

わたしたちは、結局の処、二重の人生を送っていることに気づいておらないのです。
考えてみれば、「わたし」と「私」は、本来同一意識であるのですが、それが分裂してしまっているのですから、当然と言えるでしょう。
実在するものと、想像の産物。
しかし、わたしたちは、いつごろからか、実在するものと、想像の産物とを、同格視するようになり、今や、実在するものを忘れ去り、想像の産物であるものを、唯一の自分と思うようになりました。
すべての仏像に見られる、眉間のほくろは、何を意味しているのでしょうか。
菩薩像、如来像には、必ず、眉間にほくろがあります。
菩薩や如来とは、一般的には人間の死後の精神性の高さを表わしているのですが、大切なのは、死後のことよりも、生きている今の精神性の高さを表わす言葉である点です。
そして、眉間にあるほくろが、精神性を高める為に、自己の内面に向う道標であり、眉間が道標のある場所なのです。
わたしは、「神はすぐ傍」で、精神性を高めるには、3本の時間の矢の流れの方向に、意識を向けてはいけないと主張しました。
つまり、過去や未来に執らわれた生き方をしていては、精神性はどんどん低くなって行く。
それは、わたしたちが一般的に認識している時間に支配されているからです。
そうではなくて、虚時間の方向に意識を向けない限り、精神性を高めることは出来ないのです。
虚時間というものは、一般的に認識している時間の流れの方向と90度違った方向のものを言います。
従って、虚時間の方向に、意識を向けるには、『今、ここ』にいないと向けることは出来ないのです。
先ず、『今、ここ』に立つことです。
そして立ったら、虚時間の方向の道標が見えます。
その道標は、双方向あり、上に向かうものと、下に向かうものとがあります。
精神性を高めるには、上の方向の道標に向かって行くしかないのです。
下に向かっても、別にいいのですが、それは他の生き物の世界、聖書で言えば、エデンの園の世界に戻ってしまいます。
わたしたち人間は、知識の果実を食べて、エデンの園を追放された身であります。
つまり、絶対一元論の世界から、善悪二元論の世界に入ってしまったのです。
その結果、生きることが四苦八苦になってしまったのですが、他の生き物にはない経験もできたのです。
それを、下に向かう道標に向かって、わざわざエデンの園に逆戻りすることはないでしょうし、また歓迎されないでしょう。
わたしたちが生きている世界は、エデンの園から追放されたエデンの東にあるノドという場所のことです。
ノドという場所は、わたしたち人間が完全に善悪二元論の世界に埋没しないようにと、神が道標のある場所にしてくれたのです。
ノドに居れば、エデンの園への道と善悪二元論の世界を超えた三元世界への道を示す道標が立っているのです。
ノドの場所は、エデンの園、善悪二元の世界、三元世界の分岐点であるのです。
だから道標が立っているのです。
ノドの場所こそ、わたしが言う、『今、ここ』であるのです。
ところが、わたしたちは、ノドの場所には既に居らず、善悪二元の世界に居るのです。
それが時間の支配する三次元世界なのです。
三階から、背景画面に同化している、「私」を意識しているのです。
四階の席に先ず座りなさいと言っているのは、道標が立っているノドの場所に戻りなさいと言っているのです。
そして、ノドの場所に立つと、二つの道標が立っているから、下に向かう道標、つまりエデンの園に向かわずに、上に向かう道標、三元世界へ向かうのです。
それこそ、本当の四次元要因である虚時間がある四次元世界です。
三元世界こそ四次元世界なのです。
N次元世界には、N次元要因が無いのです。それが「虚」という意味であり、虚とは、(N−1)を意味して、(N−1)元世界を指すのです。
四次元世界には、四次元要因である時間が無いのです。だから虚時間と言うのです。
そして、ノドの場所に立って、虚時間世界への道標に目を向けたら、後は進むだけです。
それが、精神性を高める道です。
精神性を高める道に入ると、いろいろな案内板が見えてきます。
「自分のことよりも、他人のことを先に考えなさい」
「怒りの気持ちが湧いたら、哀れみの気持ちに変えなさい」
「欲しいという気持ちが湧いたら、まず与えなさい」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
ノドの場所から、善悪二元の世界、つまりわたしたちが生きている三次元世界の道に入ると、ここにもいろいろな案内板が見えてきます。
「他人のことは考えずに、先ず自分のことを考えなさい」
「怒りの気持ちが湧いたら、それを隠すか、今すぐに怒るかにしなさい」
「欲しいという気持ちが湧いたら、すぐ奪いなさい」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。