Chapter 60 自殺志願者へ

わたしたちの四苦八苦の人生は、ホラー映画を観ている状態だと考えたらよいと思います。
たとえば、借金に追われて今にも破産するか、夜逃げしなければならない状態に置かれている方が、現代日本では非常に多いかと思います。
夜も眠れずに悶々とした日々が続く、本当に苦しいものでしょう。
最近、通勤電車への飛び込み自殺が急増しているそうですが、これは殆どが借金地獄の中、生命保険金目当ての自殺だそうです。
余ほど、追い詰められた日々が続いていたのでしょう。
そういう方々は、無制限連続バラバラ1本立て映画の筈の背景画面が、サラ金や、銀行が追いかけて来ては、以前大手サラ金業者の取り立て屋の言動が問題になった、「死ね、死んだ体で以って借金返済しろ!」と言われる場面の繰り返しの映画になってしまっているのです。
本番の映画というものは、いくら無制限連続バラバラ1本立てと言っても、同じ場面の繰り返しではありません。
黒澤明監督の作品で、「夢」という映画がありました。
まさに、無制限連続バラバラ1本立て映画そのものでしたが、やはりそれなりの筋がある。
しかし、借金取りに追いかけられる場面の繰り返し映画は、実は映画の予告編であることを先ず知らなければなりません。
予告編というのは、その映画の中で一番の見ものの場面だけをピックアップして、しかし全部は見せないでチラリズムの繰り返しをするところが味噌であります。
借金取りに追いかけられている日々は、まさにホラー映画の一番恐ろしい場面を四六時中観ているような状態だと思います。
イラクのフセインは今、かつてのルーマニアの独裁者ニコラエ・チャウセスクとその婦人エレナが国民によって銃殺刑に遭った時と同様、400億ドル(約5兆円)というまったく使いようのない、ただ重いだけの隠し財産を担ぎながら、狭い民家でホラー映画を背景画面にして迫真の人生舞台を演じ切っておるのです。
それに比べたら、いくらの借金か知りませんが、飛び込み自殺は、ちと稚拙ではないでしょうか。
ここで味噌な点を以下に列挙してみます。
予告編であるということ。
従って、恐い場面ばかりを編集している。
しかし、一番の見ものの決定的場面はカットされている。
結論は見せない。
そうしますと、結局は何も恐がるほどのものではないことがわかってくる。
恐怖感をそそっておるだけなのです。
まるで暴力団と同じで、堅気のわたしたちをびびらせてお金を巻き上げる手法なのです。
肝心なのは、わたしたちがびびらなければ、暴力団の狙いは失敗に終わるのです。
ただ、わたしたちは、暴力団に対するイメージがあって、「殺されるのではないだろうか?暴力をふるわれるのではないだろうか?」と恐怖心を湧かせるのが、彼らの狙いであるのです。暴力をふるったら自分たちの負けであることを彼らは良く知っておるのです。
ホラー映画の予告編は、まさに暴力団の脅迫と同質なのです。
そして、借金地獄に陥っている人たちは、ホラー映画の予告編を観て、恐怖の余り、通勤電車に飛び込んでいるのです。
これこそ、暴力団の罠に嵌っているのです。
ホラー映画の予告編の罠に嵌っているのです。
勇気を奮って本編の映画を観ればいいのです。
予告編で恐怖を焚きつけられた以上のものは決してありません。
却って、期待を裏切るような結末が味噌であります。
『なんだ!こんな程度のものだったのか!』
これが四苦八苦の人生の結末であります。
予告編映画は本来、将来に対する夢を抱かせる為のものであります。
またそれを実現でき得るものであるのです。
だから記憶に残らない負夢であるのです。
それを恐怖の記憶が残る予告編であれば、それは負夢ではなく、正夢であります。
だから、四苦八苦の人生になっているのです。
こういうのを、悪循環−英語ではvicious circle と言って、邪悪な想いの繰り返しという意味です−と言うのです。
ホラー映画の予告編だけを観て恐がらずに、思い切って本編の映画を観ることです。
借金取りから逃げずに対峙することです。
結末は期待(心配?)したほどのものでは、決してありません。
通勤電車への飛び込み自殺は、もう止めましょう。
それだけの勇気があるなら、財務省に自爆テロする方が、ずっと世の中の役に立ちます。
大阪では、ほぼ毎日、通勤電車への飛び込み自殺が発生しているようです。
もうとっくに、霞ヶ関の官庁街も永田町も瓦礫の山になっているはずです。
こういうのを、現代版無血クーデターと言うのでしょうか。
飛び込み自殺を考えている方たち!
その前に、わたしに申し込んでください。予約整理券を発行します。
その数を以って大手生命保険会社に、自爆テロも自殺の一種で巨額の生命保険金が出るよう交渉してみたいと思います。
多分、日本の生命保険会社は、そんな勇気も粋さも無いので断ってくるでしょうが、外資系、特にアラブ石油資本系やアラファト議長なら受けてくれること請け合いです。