Chapter 34 実在の世界

わたしたちは、実は夢の中で生きている、しかもその夢は実在する世界ではなく、単なる記憶を再生した映像の世界であるわけです。
では実在する世界というものは在るのか。
わたしは、実在する世界を(実)舞台の世界と申しました。
この舞台の世界を言葉で表現するのは非常に難しい。
一言で言うなら、
「色即是空、空即是色」
の「色」の世界が映像の世界で、わたしたちが現実だと錯覚して生きているこの世界であるのに対して、「空」の世界が、映像をバックにした舞台の世界であると言えるでしょう。
従って、わたしたちが、「空」の世界を体感しない限り、実在の世界を知っているとは言えないのです。
以前に、わたしの体験談を披露しました。
もう一度致しましょう。
わたしが28才の時です。
高速道路を夜の7時頃に走っていた。
そして5分間ほど、意識が消えてしまった。
しかし、自動車の運転はしっかりとしていたことは、その後意識を取り戻した時にわかった。
その5分間に経験した世界は、「色」の世界としては高速道路を5分間走行していた世界なのですが、その世界がそのまま、異次元の世界でもあったわけです。
三階の劇場に座って映画を観ているのが、「色」の世界にいるわたしなのですが、それと同時に、四階の席に座って、映画を背景に、その前の舞台も観ているわたしがいるのです。
三階にいるわたし。
四階にいるわたし。
5分間、わたしは四階にいたのです。
四階からも、もちろん映画を観ることはできるのですが、それは単なる背景にしか過ぎず、実在するのは、その前の舞台であることが、四階からだとわかるのです。
そして5分経った後、わたしは三階の席に戻ったのです。
その時はじめて、実は三階の上に四階という席があって、これもまたわたしだけの為の観客席として与えられていたことがわかったのです。
しかも、しょっちゅう、わたしは三階と五階との間を往来していたことまで発見したのです。
その五階が、いわゆる夢の世界であったのです。
三階は白昼夢の世界を観る席で、五階は正夢と負夢の世界を観る席であったのです。
負夢は、無制限連続バラバラ1本立て映画の合間にある予告編と宣伝映画であるので、実は四階に行く絶好の機会なのです。
わたしの場合は、それが眠っている間に観る負夢ではなくて、目が醒めて高速道路を走っている時に、負夢の時間帯に遭遇して、その機会に四階に立ち寄ってみたら、(実)舞台を観ることができたのです。
どうか、みなさんも、五階で負夢、若しくは、わたしが経験したように、三階で負夢の映画が始まったら、その合間を使って一度四階の自分の席に行っては如何でしょうか。