Chapter 33 夢の中の眠り

さて正夢と負夢の正体が見えたことによって、眠っている時にわたしたちが観ている夢のメカニズムとその働きがわかってきました。
結局の処、普段目が醒めている状態とまったく同じメカニズムが、眠りの中でも肉体的にも精神的にも働いているわけです。
いろいろなことで悩んでいるわたしたちは、眠りの中でも悪夢を観て苦しみ悶えているのです。
また楽夢を観ることでわくわくしておるのです。
しかも、どちらの夢を観ていても、観ている時は夢ではなく、目が醒めている時と同じ現実だと思っているわけですから、1日24時間、つまり四六時中夢を観ていることになるのです。
他方、負夢を観ている時が、肉体が睡眠を取っている時であって、リラックスして心身の浄化作用が働いている時であるのです。
実は、目が醒めている状態で心身ともにリラックスしている時があるのです。
眠っている状態では負夢を観ているケースにあたるのですが、普段のわたしたちは余程のケースでないと、このような状態になれないで生きているのです。
だからわたしたちは、瞑想や座禅といった自力的なものから、宗教に埋没するといった他力的なものにまで、頼ろうとするのです。
しかし、本来わたしたちは、眠りの中で負夢という心身をリラックスさせてくれるものを具えているように、目が醒めている時にも瞑想や神頼みをしなくても、心身をリラックスさせ、宇宙全体と一体感を持てることが出来るのです。
正夢を観ている時は、正夢の名が示す通り、現実感があるわけですから、時間の流れも目が醒めている状態と同じで、過去から、今、ここ、をジャンプして未来に流れている。
一方、負夢を観ている時は、未来から過去へ流れる場合もあるように感じられます。
例えば、未経験(未知)の事柄が現われたと思うと、過去に経験した事柄の中に、その未経験事項が収斂していくような夢を観たことがあるはずです。
過去に行った記憶のある、未経験の場所を夢で観たことがあるはずです。
これは、あきらかに未来から過去への時間の流れの中に自分がいるのです。
更に、目が醒めている時にも同じ経験をすることがあります。
過去に行ったような記憶があるのに、現実に過去を思い出しても、そんな経験は絶対にない場合が多々ある。
眠りの中では負夢を観ている状態なのですが、目が醒めている時でも負夢を観ているわけであって、まさに瞑想状態にあるのです。
そうしますと、負夢も眠りの中のみならず、目が醒めている時にも観ていることがわかってくるのです。
眠りと覚醒はどうやら別ものではなさそうだと思えてきました。
どこか南の島に、一生眠らない動物がいると聞いたことがあります。
人間も一生眠らなくても生きていけるそうです。
それは、負夢を観ている状態、すなわち自然の(ナチュラルなという意味の)瞑想状態にあれば、睡眠を取らなくても、わたしたち人間も生きていけるのです。
逆に言えば、正夢を観ている分、わたしたちは睡眠を取ることによって、負夢を観て正夢を消しているとも言えます。
正夢を寝ても醒めても観ているわたしたちが瞑想をする必要性がここにあるのですが、本来は必要ないのです。
わたしたちは、当然のことながら、目が醒めた状態の中で眠りに入ります。そして夢を観ます。つまり眠りの中での夢だと思っています。
しかし、実は、夢を観ている状態の中で眠りに入っているのです。