Chapter 30 『反省』という消しゴム

人生を楽しく生きることができたら、わたしたちの考え方はどうなるでしょうか。
まるで、わたしたちの人生は苦悩の連続のような言い方をしますが、確かに幸福を感じることは時折あるのですが、それは苦悩のほんのちょっとの合間のように思える。
だから、生きることに苦痛を感じているのが、わたしたち人間の偽らざる本音だと思うのです。
子供の時を思い出しても、楽しいことを満喫する能力は大人より幾分あるだけで、やはり子供も苦悩しているのです。
しかし、Chapter29で検証しましたように、不幸感覚と幸福感覚は一枚のコインの裏表でありますから、人生を苦悩だと思うのは片手落ちであるのです。
わたしたちの人生観は、不幸感覚を映し出す片面の鏡だけと思っているのですが、実際は幸福感覚を映し出すもう一方の鏡の面もあることを思い出さなければなりません。
それが、人生とは楽しく生きることだという見方であり考え方であるのです。
わたしたちは、時折そう思うことがあるのですが、すぐに不幸感覚が甦って来て、幸福感覚が消えてしまうのです。
それは、幸福感覚を持つことに対する脅迫観念があるからで、原因は幼児体験にあるのです。
子供の頃も殆ど苦悩して生きていると申しましたが、それは3才から7才ぐらいの間に経験した幼児体験に基づいていると言っても過言ではないでしょう。
つまり、わたしたちの記憶が始まった頃に経験したことは殆ど不幸感覚の幼児体験であったわけです。
従って、わたしたちの人生は80年程でありますが、生まれて3年から7年の間で、すべては決まってしまっているのです。
どうやら、わたしたちが夢を観始めたのは、記憶が始まったこの頃のようです。
夢とは、記憶の倉庫から洩れた想いが映し出す映像なのです。
そうしますと、記憶の倉庫にネガティブな想いがたくさんあると不幸感覚で溢れて、苦悩の人生を送ることになる。
それが幼児体験であるのです。
従って、人生は楽しく生きるべきだ、と頭でわかっているだけでは、どうすることも出来ないのです。
突き詰めてみますと、この根源的問題の解決に腐心して来たのが、人類の歴史であるわけです。
特に宗教の問題は、まさにこの根源的問題の解決手法であったわけで、神の概念もそこから生まれたのです。
しかし結局何の解決も見出すことが出来なかったのであります。
過ぎ去ってしまったことを取り返すことが出来ない限り、問題解決の方法はないのです。
ただ、これから生まれて来る子供たちが、そういったネガティブな幼児体験をすることのないよう留意することは、わたしたちにも出来る筈です。
また、自分の問題については、過去の記憶をRewind(巻き戻し)しながら消していく作業を少しでもするしかないのです。
その方法は、「心の旅の案内書」のChapter(1)時空の世界の、"夢からの脱出"で書きました。
今日一日の記憶を、夜眠る前に、Rewindして消去する。
今年一年の記憶を、新しい年を迎える年末に、Rewindして消去する。
今までの人生の記憶を、死ぬ前に、Rewindして消去する。
結局の処、自分の人生の問題解決は死ぬ時に自分の眼前に曝け出されることになるのです。
その間際に、手遅れになって狼狽えない為には、日々の記憶をRewindして消去することを怠らないことです。
それが反省の意味であります。