Chapter 161 進歩するしかないわたしたち

わたしたち人間の歴史はおよそ1万年から1万5千年だと言われています。
地球が誕生したのが46億年前。
生命体が地球に誕生したのは36億年前。
有機生命体が誕生したのが8億年前。
わたしたち人類の祖先である原人が誕生したのが数百万年前。
しかし、わたしたち現代人の歴史はたった1万5千年。
人類の祖先が誕生してから数百万年も経っているのに、わたしたちの歴史はたったの1万5千年というのは余りにも理屈に合わないという観点から、アトランティス文明が大西洋上に1万5千年以前に存在した説や、ムー大陸がインドネシアからオーストラリア沖に存在した説などが取り沙汰されているわけです。
そしてわたしたち以上の発達した文明がアトランティスやムー文明にはあったが、人類の犯した大きな罪が原因で消滅したと、いかにも実話のごとく喧伝されている。
それを荒唐無稽な説だと一蹴するつもりはありませんが、単純に考えればおかしな話だと思わざるを得ません。
宇宙の歴史が150億年。
太陽の歴史が50億年。
そしてわたしたち地球が誕生したのが46億年前で、アメーバーのような単細胞生命体が36億年前、核膜の無い一重の原核細胞である単細胞に対し、細胞膜によって内と外に分けられる二重構造の真核細胞が誕生することによって多機能生命体の基本である多細胞生命体が8億年前に誕生したことが学問的にかなり正確に立証されているのです。
話は逸れますが、お釈迦さんが喝破した無や空の理論は、原核細胞でできた単細胞の時代には当たり前であったのですが、真核細胞による有機生命体の誕生によって、この無の理論が当り前でなくなったのですから、お釈迦さんの知性は36億年前から8億年前の地球の歴史を見透されていたことになります。
20世紀に入って量子力学が誕生して、ミクロの世界への探求がはじまることで、奇しくもお釈迦さんの無・空の理論が立証されたのです。
話は本題に戻りますが、これほどの地球の歴史が明らかになっているにも拘らず、わたしたち人類の歴史がたったの1万5千年程度で、それ以前のことは正確にわかっていないということは、わたしたちの歴史がその程度であると考えた方が自然であります。
アトランティス文明やムー文明の存在は、わたしたち現代人の行く末を占ってくれる方便としては有り難いのです。
つまり、わたしたちはあと戻りできる可能性をも秘めているのです。
しかしそのためにはどんでん返しが起こる。
そうしてアトランティスやムーは消滅していったのです。
果たして、1万5千年の歴史を持つわたしたち人類のこの先に、どんでん返しがあるのでしょうか。
ひょっとしたら核戦争がどんでん返しなのでしょうか。
それは、わたしたちがあと戻りできるかどうかに掛かっているのです。
どんでん返しによるあと戻りしかないのなら、わたしたちはより進歩するしか道はありません。
しかし、不条理極まりないことを黙認、容認する余りにも愚かな生き物であるわたしたちにそれができるでしょうか。