Chapter 124 夢から醒める

活き活きとした生を生きるにはどうしたらよいのか考えてみたいと思います。
一日のはじまりである朝、目が醒めた時に憂鬱な気分か、ルンルンの気分かで、その日一日が大きく違ってきます。
そして夜、眠りに就く時に憂鬱な気分か、ルンルンの気分かで、その日一日の結果が出ます。
「日々是好日」好日二十四日目で、
1)朝目が醒めた時思ったこと
2)夜眠りに就く時思ったこと
を覚えていることが大切だとお話しました。
朝と夜、気分がルンルンであれば、わたしたちは活き活きとした生を一日生きたと思えるでしょう。
それでは、先ず朝からはじめましょう。
朝目が醒めたとき、ルンルンかルンルンでないかの違いは何が原因でしょうか。
目が醒める前まで観ていた夢に大きく影響を受けていることは、誰でも想像できる筈です。
前日から引き摺った憂鬱は、眠りに就くことを許してくれないのです。
そしてその夢は正夢であることも容易にわかるでしょう。
負夢ならば、内容がありありとは記憶にないし、また憂鬱になるような現実的なものではなく、時空間を超えた世界にいるので憂鬱になったりはしません。
正夢は、目が醒めている時にも観ている夢で、所謂現実の世界とラップしているので、恰かも今生きている自分だと勘違いする夢なのです。
目が醒める前まで観ていたのが正夢で、自分にとって期待していない、つまり起こって欲しくない内容だと、目が醒めた時憂鬱な気分になるのです。
そして正夢は殆ど憂鬱な気分にさせる内容なのです。
つまり夢の中で、わたしたちは意識していないのですが、未来に思いを馳せているからです。
所謂現実の世界で取り越し苦労をして憂鬱になっているのと同じ状態です。
ただ時折、自分にとって期待していることが起こっている内容の正夢を観ることがあります。
その時は気分がルンルンとなります。
つまり夢の中で、過去に思いを馳せているわけです。
わたしたち人間が四苦八苦する原因の殆どが、未来に対する不安であることが、ここからわかってきます。
歳を重ねていくと、過去のことは郷愁となっていくのに、未来のことは不安になっていきます。
それはまさに生老病死の四苦であるからです。
間近になってくる死の不安が待ち受けているからです。
夢は時空間を超えているので、未来も簡単に現在にやって来る。
朝目が醒めた時の気分は、夢によって影響を受けていることがわかりました。
それでは、夜眠りに就く時の気分は、何に影響を受けているかを考えてみましょう。
もちろんその日一日、所謂現実の世界で起こったことが、期待していなかったことであったからです。
期待したことが起こったら、その日一日はルンルンである筈です。
しかし期待したことが起こることは有り得ないことを、わたしたちは理解していない。
期待したことが起こるのは、まさに、『今、ここ』だけで、それが、『次、あそこ』になったらもう期待したことではなくなるのです。
従って、わたしたちが夜眠りに就く時ルンルンの気分になるには、『今、ここ』にいるしかないのです。目が醒めていても所謂現実の世界が、真実の現実の世界とラップしている正夢の世界の方を生きている限り、『今、ここ』におらず、『次、あそこ』にしかおれないのです。
結局の処、憂鬱な気分の一日になるのは、寝ても醒めても正夢を観続けることに原因があるのです。
負夢を観ているのは、REM睡眠状態ではなく熟睡状態で、その時時間は静止しています。
つまり、『今、ここ』にいるのです。
子供の頃は眠りに就くと、一瞬にして朝がやって来ます。
『今、ここ』に生きているからです。
一日がルンルンの気分で、活き活きした生を生きるためには、寝ても醒めても夢を観続けることから醒めた自分を取り戻すしか道はありません。