第四十三章  最強軍団―7

寛永の御前試合には 全国から我こそはと思う剣客が集まってきた

松平伊豆守と柳生但馬守が

三代将軍家光の御威光を高めるためとなっての一大イベントになっていた

十兵衛にとっては但馬守は父なのだが 小さいときから性がどうも合わない

柳生家はもともとは忍びだし

石舟斎のときに新陰流をあみだし剣術家の道に入った一族だが 

父の但馬守は剣術家というより政治家であった

ところが十兵衛には気に入らなかったのだ

武蔵と十兵衛の勝負は真打ちとして 

それまでに勝ち残ってきたふたりの剣術家とまず立ち合ってからになっていた

勝ち上がってきたふたりは 居合い抜き小野派一刀流の開祖伊藤一刀斎と

太車流棒術の開祖丸目蔵人だった

このふたりも世に知れ渡った剣客だ

武蔵は一刀斎と 十兵衛は蔵人と立ち合った

まず十兵衛と蔵人の立ち合いは

ぎりぎりのところで十兵衛の忍びの術から得た身の軽さが功を奏して十兵衛が勝ちを収めた

さあ いよいよ武蔵の登場だ

一刀斎は 齢八十を超える老人だ 

武蔵の倍の年齢だ

武蔵の戦法は力づくだ 

力づくの勝負にすれば勝敗は明白だが 相手が居合い抜きの一刀斎

武蔵は力で勝負せず技で勝負すると心で決めていた

それが二天一流の完成になると思っていた

一刀斎はその名の通り 一刀居合い抜きで勝負したら敵なしといわれた技の達人だ

技には技で勝負する 武蔵の真骨頂が問われる勝負であった

静かに ふたりは向かい合った