第三十六章  最強トリオの国盗り物語−5

三人は品川宿に着いた

江戸のお城まで あとニ里だ

品川宿に泊まるか 日本橋の高島屋に行くかと 日吉はふたりに聞いた

高島屋は 江戸でも指おりの大坂出身の大棚だ

江戸の 越後屋と並び称される大棚だ

あと2里なら、夕刻につけると言って武蔵は高島屋に行くことを半蔵に言った

半蔵は 気よく了承してくれた

というのは 武蔵には何かを感じたからだ

高島屋につくと 日吉が高島屋の主人を呼ぶように 番頭に言った

高島屋の主人は 飯田新七と言ってむかしから日吉のなじみだった

日吉が近江の長浜に居城していた頃から

近江の飯田村出身の新七を城下において堺との交易の仕事をさせていた

新七が店に出てくると 武蔵は 驚いた

前に一度会ったことのある御仁だが 思い出せない

日吉は 武蔵の表情を見て 知っていたのかと聞いた

新七は 笑いながら 言った

以前 わたくしの茶店でお会いしたことがございます

それで 武蔵は思い出した

新七は 武蔵に 笑いながら こう言った

お通さんが 今いらっしゃって 武蔵さまをお待ちです

さては 白隠和尚が何かたくらんでいるな と武蔵は思った

そこへ お通が出て来た

お通を見た 日吉は お通の器量に驚いた

日吉は無類の女好きだ 歳老いたりと言っても充分こと足りる

武蔵は 白隠と日吉が 同じ人間のように思えた

何か嫌な予感がした

さっそく その夜 その予感が的中したまたまた 例の戯ごとが始まった