第三十五章  最強トリオの国盗り物語−4

いよいよ江戸に向かった三人は 途中で 三島の松蔭寺に立ち寄った

久しぶりの武蔵の姿を見た白隠和尚は喜びと驚きを感じた

松蔭寺にいた頃の殺気が まったく感じられないのだ

和尚が 寺に泊まっていくように 薦めたので その夜 三人は寺に泊まることにした

囲炉裏を囲んで 三人は 夕食を 頂いた

武蔵は 今回の旅の目的を 正直に和尚に話した

和尚は 今でこそ 駿河の三島にいるが 若い病弱の頃

西国に長い死を覚悟の旅をしたことがある

そのとき 安芸の国で 正受老人と出会い 洞穴で修行をし 病弱な体を治した

正受老人から そのとき聞いた話しを 三人に話した

この日本の国は 太古の昔から 西の果てから 東の果てまでの島々を

まとめて天の下の国と言った

そして 天の上にいる人間が 天の下の国を治めるとき 

西の果てから 東の果てまでの この島々に 平和が訪れると信じた 

天の上にいる人間が 天の下の人間と 話し合ったが 

天の下の人間が 言うことを聞かなかった

仕方なく 戦になった 戦は 天の下の人間の方が得意だったが 

何故か 天の上にいる人間の威厳に圧倒されて 天の下の人間は 軍門に下った

それ以来 この国を 力で治める者は 必ず 哀れな最期をたどった

そのことを知った 聖徳太子が 十七条の憲法を制定した

天の上にいる人間を天津神 天の下にいる人間を国津神 と呼んだ

天津神は 西に 国津神は 東に 重点を置いた

京の天子が天津神 江戸の将軍が国津神 の末裔だ

この奇妙な 東西のバランスが この国の平和を守る唯一の方法だ

この話しを聞いた三人は 痛く感動した

和尚が 武蔵の体から 殺気を取ってやるため

例の巻物を与えたのが成果が出たのか

武蔵は昔の力ずくの武蔵でなくなっていた

翌朝 三人が寺を発つのを 見送った和尚は 三人の後ろ姿を見て思った

この三人は ひょっとしたら 天津神からの使者かも知れない

江戸で これから起こることが 楽しみじゃと