第二十五章  武蔵・大坂

浪速の大坂に ふたりは行った 大坂城を見るためだ

こんな大坂城を わしは造った憶えはない と嘆く日吉

大坂夏の陣で 焼きはらった後 家康が建てたものだった

武蔵は 以前の大坂城を見たことがあった

広大な 外堀 内堀に守られた天守閣は、大坂湾に浮かぶ 要塞島のようだった

それから 比べたら 日吉が嘆くのも無理はない

肥後の加藤家の城の方が 遥かに雄大だ

だが そのお陰で加藤家は お取りつぶしに遭って 今は細川家が藩主さま

日吉は それがまた気にいらない

細川は 裏切りの常習犯 公家と武家との間の二股膏薬 もってのほか

わしは 信長さまを裏切るような想いは 死ぬまで一度も持ったことがない

日吉は 武蔵に 涙をこぼして訴えた

それでは まず 大坂城 代官から お仕置きをはじめましょう 

武蔵は 日吉に 提案した

そこで 武蔵は 白隠和尚からもらった 巻物を開いてみた

日吉は それは何だか分からない

武蔵は にたっと笑って 巻物を 懐に入れた

そして急に歩き出した 首をかしげて ついていく日吉

これから 何が 始まるか