第二十三章  弁之助・武蔵

21才で 吉岡清十郎 槍の宝蔵院

24才で 宍戸梅軒

27才で 柳生新陰流

29才で 佐々木小次郎

次々と 破っていった武蔵だが 心の中には いつもぽっかりと 穴が開いていた

それは 父との確執が原因だった

吉備の国の 英田ので生まれた弁之助が 宮本村の武蔵になったのも

父との確執 その絆という糸を断つために 武蔵は無心に戦ってきた

その機会が 日吉老人によって やってきた

その老人は 事ある毎に 主の話を武蔵にした

その主は 武蔵が生まれる二年前に 家来の裏切りに遭った信長さまだ

武蔵が もう三十年早く生まれていたら としきりに悔しがる

武蔵が 信長さまに仕えておれば 信長さまは死なずにすんだと悔しがる

それを 実現したいと 武蔵に仕えた日吉老人

立場は逆なれど そんなことは小さなこと

信長さまを 生き返らせることが目的だ

武蔵は ここに父との確執を断ち切れる望みを託した

武蔵と日吉老人の 旅が始まる