第二十一章  三人布団の仲

お通と ふたりの相部屋になった武蔵は 部屋で目を閉じて黙っていた

お通は 急に 襖を開けて 布団を 引き出した

武蔵は びっくりして目を開けた

お通は 部屋に 一枚の布団をひいた そして 着物を脱ぎだした

武蔵は お通を止めようとした

それを さらりとかわして 布団の中にもぐり込んだ

武蔵は どうしていいかわからず すわっていた

布団の端から お通の手が すっと伸びてきて 武蔵の手をつかんだ

武蔵は 手を引こうとしたが お通の あまりの力に 布団の中に 引っ張り込まれた

あのときの 柔らかい感触が 甦った

武蔵が 布団の中で がちがちに なっている 

お通は あの時と同じで また笑い出した

その瞬間 誰かが 布団にもぐり込んできた

そして お通と じゃれている

驚いた武蔵は 布団をめくりあげた

なんと 宿の主人では ないか

直立している武蔵に 主人は 囁いた

一度あることは 二度あるもんですよ

直立していた武蔵が ふにゃっと ひざから 崩れてしまった

宿の主人は 武蔵に言った

こんなことぐらいで ふにゃっとなっていては 剣術の決闘で勝てませんよ