第十八章  茶助と武蔵

京都の吉岡一門も破った 巌流で小次郎も破り 名のある剣客を みんな倒した

武蔵が 目指すは 白隠の弟子たち

彼らは 名のない剣客

名のない剣客が 一番恐ろしいことを 武蔵は まだ知らなかった

あるとき 峠の茶店で 武蔵が 休んでいた

そこには 他の客は 誰もいなかった

それなのに 柔らかい殺気を 武蔵は 感じた

やわらかい殺気など いままで 経験したことがない

だが 武蔵は 白隠和尚が 同じ気を発していたことを 思い出した

これは 殺気では なく気だったのだ

やわらかいが ものすごい迫力の気だった

休み終えて 武蔵は 茶店を発とうとすると 茶店の主人が お辞儀をして 後ろに立っていた

その気に 武蔵は 圧倒されて 走り去った

そして 道のそばの 地蔵のそばにすわって 白隠の弟子の名が書いた巻き物を見た

なんと あの茶店の主人のことが 書いてあった

その名を 茶助という そして 茶助の得意は 組み手であると書いてあった

武蔵は あわてて 引っ返した

茶助は 武蔵が戻ってくることを 承知していた

言葉を交わす必要もなかった

武蔵が 茶助の組み手に 合わせて手を組もうとした その瞬間

武蔵は 宙に跳んでいた

その宙に 茶助の顔が見えている

武蔵は びっくりして 道の上にころがった

そしたら 茶助も 同じように ころがった

むさしが ころがって 土手の下に落ちると

茶助も 同じように 土手の下に落ちている

武蔵は おもわず 参りましたと 叫んでいた