第十七章  見送る白隠

白隠から 達人の 詳細をもらった 武蔵は 礼を言って 去ろうとした

そのとき、えい!という掛け声で 白隠が 木刀で 武蔵に打ち込んだ

武蔵は 動かず その打ち込みを 背中で受けた

そして 振り返って 白隠に笑いながら言った

和尚も まだ男だけに なかなか強い打ち込みをされますな

和尚が笑って それなら お前さんは 男でないから 大した打ち込みではないはず

わしに 打ち込んでまいれ と言った

武蔵は はい と言って 胸の懐から扇子を取り出して えい!と白隠の額に打ち込んだ

白隠は そこで 卒倒して 仰向けに倒れた

武蔵は お辞儀をして 松蔭寺を 立ち去った

白隠が 目を覚まして 額を触ると 何の跡もない

大した剣客じゃ と笑って 遠くに見える武蔵の姿を 見送った