第十六章  旅立つ武蔵

ある日 武蔵は 白隠に おいとまをとりたいと 申し入れた

和尚は もう学ぶべきことは なくなったか と尋ねた

武蔵は 余りにも多すぎて すべてを学ぶには一生かかっても足りない

それでは 剣の修行が出来ませぬ と答えた

和尚は 剣の修行はどれぐらい かかるかと 武蔵に尋ねた

武蔵は どれぐらいかかるか分からない と答えた

ここで学ぶのと 剣の修行の旅に出るのとでは どう違うのか と和尚が尋ねた

ほとんど変わりありません と答える武蔵に

少し変わるのは 何じゃ と和尚が怒って言うと

武蔵が笑って 和尚は最後の相手で 今の相手になりませぬ と答えた

察した 白隠は 巻き紙に 何かを書きはじめた

そして それを 武蔵に渡した

武蔵はそれを見て 驚いた

ここに書いてある 御仁は?

全部 わしの弟子たちじゃ 彼らを相手の旅に出よ

そこに書いてあった 人の名は 当時の剣の達人ばかりだった

これから 武蔵と白隠の弟子たちとの 闘いがはじまる