第十三章  泣く・武蔵

ある日 武蔵に訪問客がやってきた

とても美しい お通という女性が 武蔵に逢いにやってきた

武蔵は 逢おうともせずに 奥に閉じこもっていた

白隠は そのお通を 寺に泊めてやることにした

しかし 武蔵には内緒だと お通に言った

夜 遅くまで 和尚の部屋で 人の話し声が聞こえてくる

武蔵は 気になって 和尚の部屋の前まで来た

声をかけると 和尚は 入って来いという

障子を開けて 入った武蔵は 驚いた

ひとつの 布団の中で 和尚とお通が一緒にいる

かっ となった武蔵が 立っていると

和尚が 武蔵も一緒に 布団の中に入れという

こんなに女性のやわらかい布団にくるまって 話しが出来るなんて 最高に気持ちのいいもんだ

あれだけ 静かな お通までが きやっきやっ 騒いでいる

武蔵は 黙って 部屋を出ていった

それでも ふたりは きやっきやっ騒いでいる

我慢できなくなった 武蔵は 自分も布団の中に入りこんだ

そのとき お通も武蔵も 泣いていた

笑っていたのは ただ和尚だけ