第十一章  神経衰弱・武蔵

武蔵は 生まれもっての 頑強な体を持っていた

白隠は 生まれもっての 虚弱な体を持っていた

白隠は 肺病という不治の病を持っていたが それを軟蘇の法で治したことがある

ある日 武蔵は 不眠症にかかった

武蔵のような 武芸者は 一生 不眠症持ちだ

気が張っているときは 不眠症でも 体は丈夫だ

しかし 和尚のところに 世話になってから だんだん気の張ることがなくなった

それが 原因で ひどい不眠症にかかった

ある日 和尚が 大きな鷲の卵のようなものを持って来た

そして座禅する武蔵の頭の上に その卵を載せた

これが 白隠の 軟蘇の法だ

なんと そこで奇跡が起きた

武蔵の頭の上に置かれた 鷲の卵が腑化して 鷲のひな鳥が殻を破って出て来た

それなのに 武蔵は気づかずに 座禅を組んでいた

あわてた 和尚は ひな鳥を 武蔵の頭から取り除いた

そして 武蔵を呼ぶと 武蔵は目を開けて 気持ちよさそうに言った

ああ 和尚の 軟蘇の法の お陰で 久しぶりにぐっすり眠れましたと

白隠は それを聞いて やはり 病は気からだと悟った