大蔵官僚腐敗(6)「私物国家」 広瀬隆 著 より抜粋

そこでこの続発する社会問題という謎を追ってゆくと、国家公務員のI種採用試験で、どのような試験問題が出されているか、というところに、日本の将来について向背を決する生命線があると推測できる。
彼らのなかには、優秀な人間もいるだろう。
しかしその作業結果を見ていると、多くの場合は、優秀でもエリートでもない。
しかもこれだけの家族関係を見ていると、試験問題が間接的に事前に漏れていると、筆者は確信している。
キャリア組とは、I種採用試験の試験問題に関してだけ、点数がよかった集団、というにすぎない。
まず人間として非常識この上ない場合が圧倒的に多い。
これは、彼らと直接議論した人たち誰もが痛感する事実である。
そうなると、行政改革では、省庁の再編成などに無駄な金と時間を使うより、まず“官僚を選ぶ試験問題のチェック”からはじめたほうがいい。
行革委員会では、誰ひとりそうした本質を議論していない。
行政改革そのものが、さらに行政の無駄な仕事と予算の浪費を増やすという悪夢については、次章で述べる。
わたしが採用官であれば、もっとずっとやさしい試験問題を出して、計算能力より前に、人間として信頼できるかどうかを知りたくなる。
庭山慶一郎が銀行局時代に検査部長をしていながら、公私の区別さえつかないのでは、国民の負担が無限大になると予測されるからである。
これは、庭山個人の小さな話をしているのではない。
そうした放漫経営による赤字が、日本全土で蓄積して、6兆4000億円という膨大な金額の不良債権が発生したのである。
そのかなりの部分に、暴力団が関与している。
この欠損金額は、今もって誰にも正確な数字が分かっていない。
分かっているのは以下のような信じられない事実である。
日本住宅金融の場合、バブル経済が崩壊した直後の91年夏に、早くも母体行の三和銀行が、日本住宅金融の経営破綻に気づいて、大蔵省に再建案を提出し、適切な処理をするよう要請した。
ところが、大蔵省がこれを蹴って、不良債権がふくれあがるにまかせたのである。
その時、三和銀行が、日本住宅金融の社長のポストから庭山慶一郎を外すよう求めて、仕方なく92年に庭山は社長を退任したが、相変わらず相談役にとどまって大変な給料をもらい、長女一家が高級住宅に住み続けていた、という経過である。
もうひとり、大蔵省理財局次長と防衛事務次官を経て、やはり住専トップの座、日本ハウジングローン会長となった原徹はどうであろうか。
ハウジングの場合は、日本全土が住専問題で議論が沸騰し、怒りがわきかえっている最中、債権として回収した大金を着服する社員が逮捕されるなど、会社ぐるみで徹底的に腐敗していた。
とりわけ、ハウジング社の幹部が、富士住建、コリンズ、末野興産、桃源社という悪質な大口融資先に大金を流しこんでいた人脈は、庭山の日本住宅金融とほとんど重なっている。
これら住専の大金を呑み込んで吐き出さない暴力団との関係を、大蔵省が熟知していながら、国民に説明しない現状は、大蔵官僚の人間性を疑わせるに充分である。