ロボット化された日本人

ここ数年の間に、日本の道路交通事情が一変しました。
確かに、ここ数年の間に起こった出来事です。
北は北海道から南は沖縄まで、否、日本は東西文化の国ですから、東は北海道から西は沖縄までと云った方が適切でしょうが、日本人の車の運転マナーが画一化してしまったようです。
それ以前は、車の運転マナーは地域によって千差万別でした。
わたしが住んでいる関西地方の京都や大阪の運転マナーは最悪で、たとえば、信号が黄色から赤色に変わる間でも徐行・停止しないで通り過ぎる車は常識で、赤色になってからでも数台は走り去る光景をよく目にしたものです。
一方、同じ関西でも神戸の人たちは、昨今の東京に匹敵するほどのマナーの良い運転をし、そういう自分たちを誇りに思い、“神戸は、大阪や京都のような下品な町ではなく、東京のような品の良さがあるのよ・・・”と自惚れていました。
神戸の人たちが引き合いに出す東京の運転マナーは、かなり以前から品行方正であったことは確かですが、わたしが東京の大学に通っていた時代は、東京のタクシーこそが神風タクシーの元祖と云われるぐらい、運転マナーは酷かったことが思い出されます。
事の良し悪しは別問題として、地域の個性が車の運転マナーにも顕著に出ていたのに、この数年前あたりから、何処に行っても品行方正な運転をするドライバーが増え、事故死の総件数も10年前頃から減少している点では喜ばしいことです。
日本人の法の遵守精神が高くなったからでしょうか。
ところが、日本の犯罪件数は毎年増加の一途を辿り、今や、犯罪件数でも世界の先進国入りを果たす有様で、日本人の法の遵守精神が高くなったとは到底思えません。
嘗ての日本の治安の良さは、それこそ正真正銘世界一でした。
東京の街では、四六時中警護に余念の無い警官が100メートル毎に一人立っていた様子が思い出されます。
ところが、今や渋谷・新宿・池袋といった歓楽街は嘗てのニューヨークと同じような犯罪の巣窟のスラム街になってしまいました。
世界の犯罪状況を見てみますと、嘗て治安の良さでは世界一と言われた日本が、今や犯罪検挙率では、アメリカを抜いてワースト一位に踊り出たのです。
犯罪件数では、以下の通りです。

1位 アメリカ1,160万件/年
2位 ドイツ626万件/年
3位 イギリス517万件/年
4位 フランス377万件/年
5位 日本273万件/年

しかし、検挙率の低さでは日本が以下のようにワースト第1位に踊り出たのです。
1位 日本19.8 %
2位 アメリカ20.5 %
3位 英国24.4 %
4位 フランス26.7 %

ドイツが53.2%と先進国では非常に高い検挙率を誇っている点に、モラルの国の面目を施していると言っていいでしょう。
犯罪国家アメリカとは、20分に一件の殺人事件(年間約3万件)、5分に一件の強盗事件(年間12万件)、3分に一件のレイプ事件(年間20万件)が起きている国ですが、犯罪件数においては、そのアメリカの4分の1、つまり人口が半分であることを差し引けば、2分の1の犯罪国家が日本であり、犯罪減少への切り札である警察の機能アップ即ち、検挙率においてはアメリカを下回る国になり下がってしまったのが、現代日本社会の実態であるのです。
現実に、日本の強盗、傷害、暴行、脅迫、恐喝、強姦、強制わいせつ、住居侵入、器物損壊という9種犯罪の発生件数は1974年から1997年まで年間7万件から10万件で推移していたのに、その後の5年間で2.6倍の26万件に激増している事実は深刻な問題であります。
この原因は一体どこにあるのでしょうか。
戦後のアメリカによる一億総日本人ロボット化社会の形成にあります。
アメリカを筆頭の欧米列強帝国主義社会が意図的にしたのか、それとも敗戦国の復興作業の結果論であったのか、いま世界が直面している戦後イラクの復興問題にも同じことが言えるのですが、いまの日本では、そんな問題を論議するより、この患った社会を如何に治療するかということの方が先決だと考えられます。