決別七十二日目

「或る逸話」を紹介しよう。
一人の弟子が師匠のところにやって来て言った。
“わたしは今の妻と別れて、この女性と結婚しようと思います”
弟子が連れてきた女性は醜い外見だった。
“ほう!”お前の妻は美人ではなかったか?”
“わたしの妻は美人をいいことにうぬぼれが強く、心は逆に醜くなるばかりで、一方この女性は、外見の醜さを自覚している結果、心は逆に美しいのです”
師匠はポツリと呟いた。
“結局同じことになると思うが・・・”
それから数ヶ月が経って、またその弟子が別れた美人の妻を連れて師匠のところにやって来た。
“わたしは今の妻と別れて、この女性と結婚しようと思います”
“ほう!”お前の妻は心の美しい女性ではなかったか?”
“わたしの妻は心の美しさをいいことにうぬぼれが強くなり、心は逆に醜くなるばかりで、一方この女性は、心の醜さを反省した結果、心は逆に美しくなったのです”
師匠はポツリと呟いた。
“結局同じことになると思うが・・・”
それから数ヶ月が経って、またその弟子が今度は独りで師匠のところにやって来た。
師匠は笑いながら訊ねた。
“今度は、心も外見も美しい女性を妻にするんじゃないかね?”
弟子は真面目な顔をして怒って言った。
“そんな女性がいる訳がないでしょう!わたしはもう結婚は懲り懲りです!”
師匠はポツリと呟いた。
“結局同じことになると思うが・・・”
先ずは・・・結婚と決別することである。