決別三十二日目

日本の銀行の本来の業務が両替商から始まったことは、日本の貨幣制度が江戸幕府を開いた徳川家康の貨幣政策である三貨制度にあったことは有名な話である。
各藩で発行していた藩札と金、銀で鋳造された貨幣以外に、徳川幕府が発行した全国共通の貨幣の三つが混在していたことから三貨と呼ばれたのだが、藩ごとに鋳造した貨幣の中の金、銀の割合が微妙に違っていた。
微妙な違いの割合を計算して交換する商いをしたのが両替商であり、日本の銀行の起源が両替商にあった所以である。
現在の銀行業務の中の為替業務に当たるのが両替であった。
銀行の主業務が為替業務ではなく、貸し付け業務になってしまった結果バブル経済を招いてしまったのだ。
バブル破裂によって莫大な不良債権が生じることによって、貸し付け業務は崩壊してしまった。
日本の銀行は生き残りをかけて必死に両替業である為替業務に専念しなければならない。
これからの為替業務とは、江戸時代の三貨制度における為替業務ではなく、外国為替業務だ。
開発途上国における二重価格制度が、ちょうど江戸時代の三貨制度と同じと考えればいいだろう。
日本の銀行の外国為替業務に関する経験は、欧米諸国のそれと大きな差がある。
スイスにある銀行は何百年という老舗の銀行が数百あり、彼らは秘密保持の信用と共に為替業務のプロであった。
プライベートバンクと呼ばれ、規模的には日本のメガバンクと比較にならない小規模のものだが、世界における信用度は絶大なものを持っている。
スイスの銀行が巨大な力を持っている理由は、スイスという国が永世中立国であるからだ。
外国為替業務において最大の鍵は有事、無事に影響されない環境である。
有事のない国家が絶対条件だ。
バーゼル・ジュネーブ・チューリッヒが世界の金融の指令塔であるのも、そういった理由からだ。
日本の銀行が模索しているのは、世界の流れである為替業務ではなく、安全な貸し付け業務だ。
リスクを回避する政策しかできないのが、日本のメガバンクの実態である。
街金融を利用しての高利貸し業と、安定貸し付け先であるサラリーマン相手のマンション購入の住宅ローンしか彼らのできるものはない。
世界の銀行業務の常識ではない。
欧米諸国にはモーゲッジ会社というのがある。
ローン屋の高利貸し業であり、欧米諸国では銀行という名さえ使えない。
日本では銀行という存在は消滅していく運命にあると言わざるを得ない。
先ずは日本国民ひとり一人から・・・サラ金業者と結託する銀行と決別することである。