貨幣を握る者が世界を握る

帝国主義とは、軍事力によって他の弱い国を陵辱することである。
ところが、軍事力は経済力によってその質が左右される。
すなわち、経済が疲弊すると動機付けが落ち、軍事力の二大要諦である、軍人と兵器の質が劣化するのである。
まさに、
軍人といえどもしょせん人に過ぎない証である。
歴代の世界の帝国が崩壊していった背景には、必ず、経済疲弊が軍事力劣化を伴うゆえの帝国崩壊に他ならなかった証左に尽きる。
そして、
経済疲弊の最大要因が貨幣価値の凋落に収斂する。

“もし私に一国の通貨を発行する権限を与えてくれたならば、その国の法律を超越した存在になるだろう”(アムシェル・マイヤー・ロスチャイルド)

古代ローマ帝国から大英帝国、そして、モンゴル帝国、そのあとを継いだオスマン・トルコ帝国ですらも貨幣価値の凋落が帝国の崩壊を招いた。
平たく言えば、
国家事業の倒産は偏に債務超過、すなわち、借金経営が原因だ。
ほとんどの国が債務超過に陥っている現代世界の状況は、まさに、国家の概念が消滅する時代に差し掛かっていることを示唆している。
そして、
大英帝国が消滅し、アメリカが台頭しはじめたきっかけは、第一次世界大戦前後からである。
それまでモンロー主義で有名なように、アメリカ合衆国は鎖国政策を採り、世界の覇権を狙うような野心は毛頭なかった。
ところが、
1913年にアメリカで「通貨法」が制定され、連邦準備制度理事会(FRB)が設立された。
その頃、大英帝国の金庫であった英国銀行(イングランド銀行)が正式に国有化された。
では、
それまでの英国銀行(イングランド銀行)は国有ではなかったのか?
少なくとも株式会社であったことは確かで、それまで株主の正体が公表されていなかったのだが、それが英国政府であることが判明したわけだ。
英国銀行(イングランド銀行)の主人が英国政府であることがやっと公表された頃に符合して、アメリカで「通貨法」が制定され、連邦準備制度理事会(FRB)が設立された。
そして、
連邦準備制度理事会(FRB)の主人が、現在に至るまで、アメリカ政府ではなく、誰なのか公表されていないのは、英国銀行(イングランド銀行)の場合とまったく同じである。
大英帝国として君臨した時代の世界の基軸通貨は、英国銀行(イングランド銀行)が発行する英国ポンド(スターリング・ポンド)だったが、大英帝国が消滅して、アメリカ合衆国が帝国を引き継ぐと、世界の基軸通貨は連邦準備制度理事会(FRB)の発行するUSドルに取って替わられたのである。
世界の基軸通貨の発行権の持ち主は、世界を支配する国家ではなく、決して明かされたことはないのである。
もういちど思い起こしてみよう。

“もし私に一国の通貨を発行する権限を与えてくれたならば、その国の法律を超越した存在になるだろう”(アムシェル・マイヤー・ロスチャイルド)

アメリカで「通貨法」が制定され、連邦準備制度理事会(FRB)が設立された1913年よりおよそ半世紀遡ること1871年1月17日(明治3年11月27日)。
日本の商業の中心地であった大坂に、現在の日本銀行の前身である造幣局が、FRB(連邦準備制度理事会)よりも早く設立された。
設立に関わったのは、英国銀行のメカニズムを学んだ井上聞多(井上馨)、遠藤謹助、山尾庸三、伊藤俊輔(伊藤博文)、野村弥吉(井上 勝)、いわゆる長州ファイブの連中であった。