苦い酸っぱい思い出

羽田の到着口で わたしはドキッとした

あの懐かしい 上向き加減の笑い顔

彼女もわたしに気がついた

あれはもう二十数年前のこと

もう逢いたくないと言った彼女

呆然と聞くわたしは言葉をなくしたカナリア

初めて出会ったのは十五の時

初めて言葉を交わしたのは十八の時

ただ遠くから見ているだけで胸がときめいたあの頃

朝の通学で偶然出会った日は一日幸せ

彼女と同じ制服を見ただけで胸が騒いだあの頃

それだけで良かったのか

言葉を交わさず淡い思い出だけでよかったのか

それなら もう逢いたくないと言われずにすんだ

苦い酸っぱい思い出だけど

やっぱり言葉を交わしてよかった

それだけ多くの思い出がつくれたから

思い出が多いほど 人はやさしくなれるから

ありがとう!と言おう

苦い酸っぱい思い出をくれた彼女に