パリの思い出

砂漠の国から帰って来た日

テルミナスの前のカフェに立ったわたし

背中に香しい視線を感じ振り向いた

あなたは白いテーブルに座っていた

カフェを手にわたしに微笑を投げてきた

冬のパリに白い服は似合わない

それがあなたには新鮮だった

真っ黒に日焼けした顔と真っ白な歯

それがあなたには新鮮だった



熱砂の地獄から帰って来た日

マドレーヌの階段にすわったわたし

背中を叩いて微笑むあなた

冬のパリに泥だらけの奴は似合わない

だけどあなたの胸を突き刺した

地獄の中から這い上がって来たわたし

花のパリに地獄の天使は似合わない

それがあなたには新鮮だった

突き刺すような鋭い目と黒い髭

それがあなたには新鮮だった



ただそれだけのパリでの出来事

だけどパリは心の故郷になってしまった