雨の山下公園

真っ赤なカーディガン

あの人は 何気なく着こなし 

傘をさす

わたしは 横にただ寄り添うだけ

傘が あの人の片腕をわたしから奪う

もうひとつはズボンのポケットの中

わたしの腕は宙ぶらりん

だけど何も言えないわたし



年下のあの人を 一目みた赤坂の夜

あの人は 幼く笑ってた

わたしは そっと笑い返した

その瞬間を 今も憶えている

そして話した 暗い表参道の教会

原宿駅まで手をつなぎたいと言ったわたし

渋谷駅のプラットホームが別れの場所



雨の山下公園は誰もいない

あの人と歩いた雨の歩道

わたしは同じ傘の下

それでいいの それでいいの

再び逢えた悦びで

今は ほかの人がいるわたし

それでもいいの、それでもいいの