はじめに

明治以降の歴史を日本人はあまり知らされていない。
意図的と思ってもしかたないほどに。
宗教という商売が一番成功するためのマーケティング戦略は、見込み客、すなわち、信者を子供のうちに手の内に引っ張り込むことである。
いろいろな新興宗教団体のほとんどが採っている手が日曜学校である。
子供(の学校)の休みの日を狙ってのことだ。
日曜学校は、七日目の安息日を日曜としているキリスト教の世界だけにある習慣で、ユダヤ教なら土曜日、イスラム教なら金曜日なのに、キリスト教の信者数が全人口の1%程度しかない日本の日曜日、朝から子供連れの大人たちが、それぞれ加入している宗教団体の会場にしげしげと通っている様子が全国でみられるのが、何よりの証拠である。
子供の頃に植え込まれた先入観は一生変わることがないことを見通して、終身安定信者をせっせとつくっているわけである。
明治維新当時の人口3000万人の日本人に同じ手を使って、新しい先入観を植え込んだのが明治政府である。
新しい先入観を植え込まれた日本人が増殖して今では1億2000万人に達している。
しかも、次から次へと世代増殖した連中が植え込まれた常識は、さながら終身刑を言い渡された罪人を収容する堅固な檻のようなものだから、自由な娑婆に出ることはもはや不可能になる。
人類史上最初にして最後であろう被爆民になった理由(わけ)として、一概に日本人が悲劇の民だったというだけで納得させるわけにはいかないほど、人間社会は高度情報化している昨今、5000種類の言語を持ち、2500種類の民族を持つ人類の中で、よくよく考えてみれば、およそ奇跡的ともいえる低い確率の唯一の被爆民になった本当の理由(わけ)を探し当てて対処しておかないと、再び、同じことが起こる確率がこれも奇跡的ともいえるほど高いものになるだろう。
では、
その本当の理由(わけ)は?
その鍵を握っているのが、国民的大作家と言われている司馬遼太郎なのである。
本書は、同氏に対する批判書ではなく、痴呆化した日本人に対する警鐘の書であることをここで確認しておきたい。


平成25年10月31日   新 田  論


1.明治維新は欺瞞
2.世界から見た明治日本
3.日本が仕掛けた日清戦争
4.2000万人の犠牲の上に2000万部の大ベストセラー
5.皆殺しはナチス・ドイツだけの専売特許ではなかった
6.朝鮮王妃殺害事件
7.日本帝国主義のやり口
8.戦後賠償責任を果たしていない日本
9.日露戦争の正体
10.戦史の偽造
11.共和制国家・日本は一体いつになったら?
12.韓国人の問いかけ
13.明治の「征韓論」検証の必要性
14.明治の「征韓論」検証(その一)
15.明治の「征韓論」検証(その二)
16.諸外国の韓国論
17.ロシアの韓国論
18.真実の歴史(事実を知り、認める勇気)
19.一貫して朝鮮敵視政策をとった明治の日本
20.司馬史観
21.日本版「007」坂本竜馬
22.売国奴・長州ファイブ
23.伍代友厚(薩摩ナインティーンのリーダー)
24.維新の陰のドン
25.維新の陰に大英帝国あり


おわりにあたって

革命を輸出する。
マルクス・レーニン主義の標榜である。
ベトナム戦争は革命の輸出の最たる例。
世界最強の国アメリカがガタガタにされたのがベトナム戦争であり、肉体の傷の何百倍もの心の傷を、当時のアメリカの若者に与えた。
当時の日本の若者も同じ心の傷を負った太平洋戦争の敗北は、明治以降の日本の姿の縮図であった。
おわりにあたって、もう一度「司馬遼太郎の歴史観」から引用しよう。
「司馬遼太郎は「栄光の明治」として「坂の上の雲」を書きました。しかし、この「明治の栄光」は、日清戦争から数えてわずか50年、日露戦争からではわずか40年の短い歳月のあと、朝鮮・中国をはじめアジア・太平洋の地域で、2000万人以上の人びとの命を奪い、日本人も310万人もの人たちが戦火に死すという、1945年の惨憺たる日本の敗北に行き着きました。
戦後日本の政界・思想界の主潮流は、この惨憺たる敗北は「明治の遺産ではなく、明治への背信の結果である」と言い続けてきました。司馬遼太郎の「坂の上の雲」もその潮流の中にあります」

明治維新もフランス革命やロシア革命のような「革命の輸出」の産物となれば、明治維新(Meiji Restoration)と呼ばれてきたことが余計うさん臭い。
フランス革命(French Revolution)、ロシア革命(Russian Revolution)と同じように、これからは「明治革命(Meiji Revolution)」若しくは「日本革命(Japanese Revolution)」と呼ぼうではないか。


平成25年12月6日  新 田  論